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目視では限界、衛星画像とAIで産廃の不法投棄を監視–パスコと茨城県が実証
2024.01.29 16:15
パスコと茨城県は、衛星画像とAI(人工知能)技術で産業廃棄物の不法投棄などの早期発見を目指して共同で実証に取り組んでいる。1月26日に発表した。
光学衛星の画像をAI技術で解析し、不法投棄などの可能性がある箇所を抽出して、人間が巡回するなどの目視のみに頼らない監視の可能性を検証し、監視指導体制の強化を目指す。2023年度に内閣府からの委託事業「課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」として採択されたものになる。
茨城県はこれまでも、県警OBなど10人を不法投棄機動調査員として配置するなど不法投棄対策に取り組んでいるという。不法投棄発生件数は減少に転じるなど一定の効果を挙げているが、県内を人力だけで監視するには限界がある。そこで人力にだけに頼らない監視の可能性を検証することで監視・指導体制の強化を図ろうと考えたのが、今回の取り組みの背景になる。
今回の取り組みでは、衛星が撮影した最新の画像と少し前の時期の画像を比較して、不法投棄などがあった場所の抽出に向けて既存のAIモデルに追加で学習させる。AIでの抽出結果と実際の不法投棄の情報を比較して抽出精度を評価する。
2月頃まで茨城県で実証を進め、3月頃に今回の取り組みの事務局である一般財団法人日本宇宙フォーラムで実証成果を報告する。実証結果を踏まえて今後の業務に適用できるかどうかを検討する。
パスコが取り扱っている光学観測衛星はMaxar Technologies(旧DigitalGlobe)の「World View-1」「GeoEye-1」「World View-2」「World View-3」「World View-4」、Airbus Defence & Space(Airbus DS)の「SPOT-6」「SPOT-7」と「Pléiades」(1Aと1B)。撮影頻度はWorld ViewシリーズとGeoEye-1が約2日、コンステレーションのSPOTとPléiadesが毎日。