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NEC、SARとAIで崩落につながる橋の損傷を発見–精度はミリ単位、複数をまとめて
2022.07.07 07:45
日本電気(NEC)は7月6日、合成開口レーダー(SAR)衛星によるリモートセンシングと人工知能(AI)技術を組み合わせ、橋の崩落につながる重大損傷を発見する技術を開発したと発表した。
衛星を利用したリモートセンシングで得られた変位データと橋の構造や気温の変化を独自幅AIに学習させることで、橋の変位予測モデルを作成する。
同モデルを用いて、点検期間にリモートセンシングで得られる変位データを分析(いつもの状態を理解し、予測から大きく外れる変位を確認)することで、重大事故につながる可能性のある垂れ下がりなど、ミリ単位の精度で異常なたわみを発見できるとしている。
現在、経年劣化が進行する橋など道路構造物は5年に1回の定期点検が義務化されている。しかし、全国72万の橋を点検する必要があるため、担当する専門家の人員が不足しており、点検の効率化や代替手段となる新技術が求められている。
今回、開発された技術は、リモートセンシングとAIを組み合わせることで、目視では気付きにくい程度の異常なたわみについて、複数の橋をまとめて検知可能と説明。近接での目視点検が困難な河川や海、谷などに架かる橋の点検業務の効率化が期待できるという。
定期点検の期間外でも、橋の異常なたわみの有無を継続的に遠隔から確認し、異常なたわみがある橋を優先的に点検できるとしている。
同社は、2021年10月3日に和歌山県・紀の川に架かる六十谷水管橋が崩落したことを受けて、六十谷水管橋を撮影した、崩落する前の2年間の衛星SAR画像を入手。崩落前の六十谷水管橋の変位を過去にさかのぼり評価した。
その結果、崩落個所で崩落1年前から他径間と比較し、1.5倍程度の大きさの崩落の前兆現象と考えられる変位が継続して観測されたという。
解析技術を強化し、2025年度を目標に橋の管理者や点検従事者向けの製品化を図るとともに、橋を含むインフラ施設管理全般のデジタル化にに取り組んでいくとしている。