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高度30km、気温マイナス70度の「成層圏」に高校生がアイデアを飛ばす
2024.01.11 11:12
GOCCO.(岐阜県大垣市)は1月10日、高校生を対象とする成層圏到達実践型プロジェクト「そらLab」を開催したと発表した。
同社は、小型モジュールを気象観測用バルーンで上空3万mの成層圏へ送り込み、回収する成層圏往復便サービス「shuttleD(シャトルド)」を運営。shuttleDは、成層圏での各種科学実験、海洋上での回収を数多く成功させてきたチームが主導し、成層圏での実験環境を提供しているという。
今回開催したそらLabでは、事業性、独創性、実現性という3つの観点から選出されたアイデアに対し、専門チームがサポートしながら、実際に高校生が実装。高度30km、最低気温マイナス70度、気圧が約100分の1という極限環境である成層圏に次世代の研究者たちのアイデアを送り込む実践型宇宙開発プロジェクトという。
2023年5月27日には、名古屋大学東山キャンパスにある共創スタジオ「Idea Stoa」でキックオフ説明会を開催。プロジェクト概要や成層圏環境の特異性などを説明したほか、過去実績の紹介を交えつつ実践的なノウハウを共有した。
人工土壌「高機能バイオ炭」を活用した次世代の作物栽培システムを開発、販売する名古屋大学発スタートアップのTOWING(名古屋市南区)代表取締役である西田宏平氏がゲストで登壇。名古屋大学宇宙開発チーム(NAFT)の2023年度代表である中村涼真氏、電子工作の面白さを広める活動を展開しているユニット「ギャル電」など、さまざまな分野で活躍するゲストが登壇した。同日開催したワークショップでは「宇宙に何飛ばそう」をテーマにアイデア出しとモック作りに取り組んだという。
2023年7月17日開催の公開審査会では、16チーム(60人程度)が参加。チームごとに企画案をプレゼンテーションした。審査会では、独創性、事業性、実現性の3つのバランスを評価軸に上位入賞企画を決定。上位入賞チームの企画については、shuttleDのスタッフと共同で制作し、成層圏へ送り出す。以下の3つのテーマが選ばれた。
- 「宇宙に悩みを打ち明ける」チーム名=しおこんぶ(名古屋大学教育学部付属高校2年)
- 「成層圏でポップコーンを作ろう!」チーム名=モーニングセットエッグハムマフィン(名古屋大学教育学部付属高校2年)
- 「宇宙に、野菜・植物の種を送るー!」チーム名=電気電子研究会(岐阜県立岐南工業高校3年)
綿密なフライトシミュレーションから気象条件が整った2023年9月29日に三重県鳥羽から静岡県浜松の航路で打ち上げ。打ち上げ場所から直線距離で約50km、浜名湖沖合約20kmの海上に着水した機体を回収した。
回収した機体にダメージはなく、取得データを解析後、Idea Stoaでのアフターミーティングで参加者全員に今回のプロジェクトの成果物を共有したという。