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超小型衛星をISSから放出–古川聡飛行士とリアルタイムで交信するイベント開催

2023.12.14 12:52

飯塚直

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の有人宇宙技術部門は12月12日、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在中の宇宙飛行士古川聡氏と地上でリアルタイムで交信するイベント「超小型衛星ミッションに挑む! 古川宇宙飛行士×学生トークセッション」を12月15日に開催すると発表した。

 イベントはJAXAの公式YouTubeチャンネルで配信する。12月15日午後8時15分から開始する。

(出典:JAXA)
(出典:JAXA)

 「#スペースJAPANを応援しよう」というテーマのもと、古川氏のISS長期滞在中ミッションのひとつである「超小型衛星放出」をテーマとする2つの超小型衛星「Clark sat-1」と「BEAK」を紹介しながら、古川氏と地上をつないでリアルタイムで交信する。

 イベントには、ISSの日本実験棟(JEM)「きぼう」小型衛星放出機構(JEM Small Satellite Orbital Deployer:J-SSOD)から放出する超小型衛星の開発に携わったクラーク記念国際高校の吉田岳史氏(Clark sat-1関係者)、東京農工大学の岡田枝恩氏(BEAK関係者)が出演する。吉田氏と岡田氏は、衛星開発の経緯などについて紹介するほか、ISSとの交信では古川氏に直接質問する。

 JAXA解説員が超小型衛星放出をわかりやすく説明するコーナーも用意する。特別ゲストとして“宇宙大好き芸人”のきくりん氏も出演する。

 J-SSODは、ISSを構成するモジュールで唯一、エアロックとロボットアームの両方をあわせ持つ「きぼう」の機能を活用し、ISSから超小型衛星を放出する。超小型衛星放出事業を担う民間事業者(Space BD三井物産エアロスペース)を通じた超小型衛星などを放出する。J-SSODで放出できるのはキューブサット規格(1~6UとW6U)や50kg級の衛星としている。

 Clark sat-1(愛称「Ambitious」)は、10cm角で質量約0.94kgの1Uサイズ衛星。クラーク記念国際高校の生徒が主体となり、2021年10月に開発を始め、2023年3月に完成した。

 BEAK(Breakthrough by Egg-derived Aerocapture Kilt vehicle)は2017年1月にJ-SSODから放出された、大きさが3Uで重量が4kgの超小型衛星「EGG」(re-Entry satellite with Gossamer aeroshell and Gps/iridium)の後継。EGGに軌道制御機能を加えたBEAKは、衛星落下の原因となる空気抵抗を逆利用して飛行軌道を制御する技術(エアロキャプチャ)、大気圏飛行時に発生する熱(空力加熱)を逆利用して大気圏突入用シールドを広げる技術(形状記憶合金展開エアロシェル)などを実証する。

 古川氏は8月26日に「Crew Dragon」7号機でISSに搭乗するミッション「Crew-7」で米フロリダ州ケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられた。翌日にISSへとドッキングし、入室を完了させている。

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JAXA有人宇宙技術部門イベント紹介

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