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Space Compassなど、成層圏のHAPSから携帯端末への通信実験へ
2023.12.08 10:25
Space CompassやNTTドコモ、NTT、スカパーJSATの4社は12月7日、高速大容量化技術の研究開発を開始したと発表した。
成層圏を飛行する高高度プラットフォーム(High Altitude Platform Station:HAPS)を介した携帯端末向け直接通信システムの早期実用化に向けて、実用化後の利用拡大を見据えたものと説明。情報通信研究機構(NICT)が公募する「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」に採択されて取り組む。
代表研究者はSpace Compassが担当。NTTとNTTドコモ、スカパーJSATは共同研究者として参画する。期間は2023年11月2日~2028年3月末(最長で継続した場合)。
Beyond 5Gの実現に向けて、4社はこれまで、空や海、宇宙などあらゆる場所へ通信サービスを提供する「超カバレッジ拡張」を検討。HAPSを含む非地上ネットワーク(Non Terrestrial Network:NTN)と呼ばれる宇宙RAN(Radio Access Network)の構築に向けて研究開発してきた。
HAPSは、高度約20km上空の成層圏を数日から数カ月の間、無着陸で飛行できる無人飛行体。機体に中継器などを搭載し、直径100~200km程度の通信エリア化が可能となり、従来通信エリア化が困難であった空や海上、採算性の観点から通信エリア化されていなかった過疎地域や中山間地域なども対象とすることが検討されている。
HAPSは、成層圏から空や海、地上に向けて通信サービスを提供するネットワークであり、災害対策にも活用できる。離島や山間部、海上などのエリア化、ドローンや船舶などの利用範囲拡大といった通信サービスの利便性向上が可能になる。
今回の開発は、成層圏を無人飛行するHAPSを介し、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末へ直接通信サービスを提供するシステムの早期実用化と高度化が目的。日本国内でのHAPS機体を活用した成層圏環境の携帯端末向け通信実験を目指す。
「Beyond 5G」時代にHAPSの普及とユースケースの拡大を図るため、携帯端末とHAPS間の通信(サービスリンク)の高速大容量化や、HAPSと地上ゲートウェイ局間の通信(フィーダリンク)を途切れさせない技術の実現、「時分割複信(Time Division Duplex:TDD)」周波数帯の活用などシステムの高度化を目的とした開発に取り組むという。
2025年度までに国内成層圏環境でのHAPS通信サービスを実験し、2027年度までにHAPSのサービスリンクとフィーダリンクで研究開発成果を統合して実証試験する予定。
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NTTプレスリリース