VMC Motion、月面の物理シミュレーション開発に着手--「宇宙建設革新プロジェクト」の一環

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VMC Motion、月面の物理シミュレーション開発に着手–「宇宙建設革新プロジェクト」の一環

2023.12.05 13:02

飯塚直

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 物理シミュレーターを開発するVMC Motion Technologies(名古屋市昭和区)は12月5日、無人での月面基地建築や月の資源掘削などを仮想空間で検討、検証できる月面の物理シミュレーション開発に着手したと発表した。

 月面の物理シミュレーションの開発は、国土交通省と文部科学省が連携して進める「宇宙無人建設革新技術開発推進事業」(宇宙建設革新プロジェクト)に採択された、有人宇宙システム(JAMSS、東京都千代田区)の「トータル月面建設システムのモデル構築」の再委託事業。JAMSSからの委託を受け、物理シミュレーターを手がけるVMC Motionが開発することになった。

(出典:VMC Motion Technologies)
(出典:VMC Motion Technologies)

 物理シミュレーションは、重力や地形など、地球とは異なる月面環境を考慮しつつ、開発プラットフォームにゲームエンジン「Unreal Engine5」、物理挙動の計算に使用される統合シミュレーター開発環境(物理エンジン)に「AGX Dynamics」を使用する。

 月面での探査車(ローバー)の走行や資源採取のための土壌掘削、基地建設のための土木建設工事など、高精度なシミュレーションへの対応を目指すという。

(出典:VMC Motion Technologies)
(出典:VMC Motion Technologies)

 米航空宇宙局(NASA)が配布する月面の高解像度テクスチャデータ「CGI Moon Kit」を使用。NASAが主導する月探査プロジェクト「Artemis」計画で着陸が想定される月南極付近での作業環境を忠実に再現する予定。

 月の砂や塵(レゴリス)をはじめ、今後の月面探査で解明が期待される未知の事象を反映できるように拡張性を持たせ、長期間で多用途に使用できるシミュレーションプラットフォームの構築を目指す。

(出典:VMC Motion Technologies)
(出典:VMC Motion Technologies)

 AGX Dynamicsは高速性と正確性を両立し、高い安定性を誇るという物理エンジン。多くの訓練シミュレーター、エンジニアリング用途シミュレーション、大規模な粒子シミュレーションなどで活用されていると説明。スウェーデン企業Algoryx Simulationが開発し、日本ではVMC Motionが販売、サポートしている。

 CGI Moon Kitは、月の3Dモデルを作成するためのデータセットであり、3Dレンダリングソフトウェアで使用するために設計されている。NASAのScientific Visualization Studioで公開されている。月を周回している衛星「Lunar Reconnaissance Orbiter(LRO)」が撮影した画像データで作成されている。

 VMC Motionによると、物理シミュレーションは宇宙建設革新プロジェクトの趣旨に基づき、地球上での建設事業への活用も期待できるという。建設機械の操作訓練や大規模工事での施工計画立案、自律施工技術開発での検証、人工知能(AI)の学習環境などへの活用も想定するとしている。

(出典:VMC Motion Technologies)

関連リンク
VMC Motion Technologiesプレスリリース(PR TIMES)
国土交通省「宇宙建設革新プロジェクト」概要
NASA「CGI Moon Kit」

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