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宇宙飛行が勃起不全リスクを高める可能性–宇宙線や微小重力で血管組織に障害

2023.11.27 16:30

塚本直樹

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 宇宙飛行が宇宙飛行士の勃起不全(ED)のリスクを高めるという研究結果を、米フロリダ州立大学のJustin D. La Favor氏が報告している。

 米航空宇宙局(NASA)が資金を提供した新しい研究によれば、宇宙線や微小重力に晒されると、宇宙飛行士の血管組織に障害が発生する可能性があるという。血管組織の障害は勃起不全の原因となり、宇宙飛行士が地球に帰還して長い回復期間を経た後でも、そのような機能不全が持続する可能性があることが研究で示された。

 研究チームは86匹の「Fisher-344」ラットの成体のオスを模擬的な宇宙線と微小重力に晒した。1年後にラットの組織を分析すると、少量の宇宙線への被爆であっても、細胞やタンパク質、DNAに損傷を与える酸化ストレスが増加していたという。酸化ストレスは老化や糖尿病、がん、アルツハイマー病だけでなく、勃起不全の増加にも関係している。

 La Favor氏は「宇宙での有人ミッションが今後数年にわたり計画されていることから、宇宙飛行士が地球に帰還する際に、性的な健康状態を注意深くモニターすべきだ」と述べている。

関連リンク
米実験生物学会連合(FASEB)
Space.com

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