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NTT Com、測位サービス「Mobile GNSS」提供–誤差数cm以内で測位可能
2023.10.18 17:14
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は10月18日、高精度位置情報測位サービス「Mobile GNSS」の提供を開始したと発表した。衛星測位システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)から取得した位置情報をベースに、地上の基準局からの補正情報を加えることで、位置情報の精度を上げる「Real Time Kinematic(RTK)測位」技術を採用。誤差数cm以内の高精度で測位できるという。
GNSS衛星からの信号を受信して、高精度な位置情報を取得する超小型受信端末「MTRTK3」(アンテナ、バッテリー、LTEモジュール内蔵)を開発。GNSS位置補正情報サービスとしてワンパッケージで提供する。サイズは75×42×24mm。
MTRTK3は、マイクロテクノロジーとの技術協力で極限まで小型化、軽量化したと説明。GNSS受信モジュールは国内外で多数の導入実績を持つというユーブロックスジャパン製の「ZED-F9P」を搭載している。通信サービスとGNSS位置補正情報サービスは、NTT Comの「IoT Connect Mobile TypeS」のeSIM、NTTドコモの「docomo IoT高精度GNSS位置情報サービス」を使用する。
ユーブロックスのZED-F9Pは、米GPSや欧州Galileo、ロシアGLONASS、中国の北斗(BeiDou)、“日本版GPS”である準天頂衛星システム(Quasi-Zenith Satellite System:QZSS)「みちびき」の5つを受信可能。みちびきから送信される「サブメーター級測位補強サービス」(Sub-meter Level Augmentation Service:SLAS)にユーザー側で設定できる。
NTT Comによると、建設業界では時間外労働の上限規制や就業人口の減少や高齢化、危険の伴う環境といった課題に直面しており、デジタル化による建設現場全体の生産性と安全性の向上が急務という。
土木現場でも、生産性と安全性の向上に向けて建設機械や作業員、資材の動態管理を進めており、建設機械にGNSS受信端末を搭載して、位置情報を取得、可視化するなどデジタル化の取り組みが広がっているとしている。
建設機械の位置情報に加え、作業員の高精度な位置情報もあわせて可視化し、安全性や生産性の向上に役立てたいというニーズが顕在化したことから、作業員も携行できる小型、軽量の受信端末を開発、提供することになったと解説する。
GNSS受信端末の小型化で携行性が大幅に向上したと説明。建設現場などで作業員や建設資機材にGNSSを容易に導入することで、正確な位置情報を活用した現場の安全性と生産性の向上が期待できるという。
今後は、GNSSで取得した位置情報を作業員の位置情報の可視化だけでなく、危険エリアへの侵入を検知する安全管理支援サービスなどに活用することを検討。MTRTK3を屋内測位技術と連携させ、屋内外でのシームレスな測位実現を目指すとしている。
建設業界だけではなく、インフラ点検業務、農業でのトラクターの自動操舵への活用、車両の正確な位置把握など高精度な位置情報可視化への需要が見込まれる、ほかの業界への展開を予定している。
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NTT Comプレスリリース