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惑星形成の前夜を捉えることに成功–リングができる前の原始惑星系円盤を確認
2023.10.10 15:46
国立天文台(NAOJ)などによる国際研究グループは、ある原始星の原始惑星系円盤を「アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array:ALMA)」(ALMA望遠鏡)で詳細に観測し、惑星の作られた痕跡がないことを確認した。惑星形成がどのように始まるのかについて、最初の一歩を捉えた研究成果だとしている。
恒星の周囲を回る惑星は、原始星を取り巻く原始惑星系円盤のなかで塵や星間ガスが集まって作られる。惑星ができると、その重力の影響で円盤には濃淡のリングが形成される。実際の観測でも、リング構造を持つ原始惑星系円盤が多く見つかっている。
研究グループは、惑星形成の開始を捉えようと比較的若い原始星「おうし座DG星」をALMA望遠鏡で観測したところ、おうし座DG星を取り巻く円盤が「のっぺり」していて、リング構造は見られなかった。つまり、この円盤にはまだ惑星が生まれておらず、「惑星形成前夜」にあると考えられるという。
さまざまな波長で観測した結果をシミュレーションと比較し、円盤内の塵の大きさや分布も推定。その結果、塵の大きさは円盤の内側よりも外側が比較的大きく、惑星形成の過程が進んでいる、ということが分かった。これまでの理論では、惑星の形成は円盤の内側から始まると考えられていたが、実際には外側から始まる可能性があるという。
今回の研究は、円盤内の塵の大きさや分布を明らかにしたことで、惑星形成がどのように始まるのかを捉えたという。
関連リンク
国立天文台プレスリリース
ALMA望遠鏡プレスリリース