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ツインカプセラ、再突入カプセル技術活用「断熱保冷容器」開発–ベータ版を提供
2023.10.06 12:31
JAXAベンチャーのツインカプセラ(茨城県つくば市)は、宇宙からの試料回収(サンプルリターン)に使われた断熱保冷容器の技術を活用し、医薬品やワクチン、検体などを恒温輸送するための「小型・超高性能断熱保冷容器」を開発した。ベータ版を数量限定で有償提供する。
もとになった技術は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が国際宇宙ステーション(ISS)からの物資回収技術を実証するために開発した、再突入カプセル内の断熱保冷容器。ツインカプセラは、この容器の開発に協力したタイガー魔法瓶と業務提携し、小型軽量で超高性能な断熱保冷容器の開発に取り組んだ。
対象とする分野は、医薬品やワクチン、検体、細胞、生体組織などの輸送が必要なバイオメディカル分野。これまで困難とされていた「確実な温度維持」と「低コストでの保冷輸送」を両立させられる、「カバンにも収まるコンパクトサイズ」でさまざまな温度帯で「約3日以上の温度維持が可能」な断熱保冷容器の実現を目指した。
開発した容器の対応温度帯はマイナス75度、マイナス20度、マイナス10度、4度、20度、37度などと幅広く、各温度帯で約3日以上の温度維持が可能という。常温の宅配便による保冷輸送が可能で、バッテリーを使用していないため航空輸送にも対応する。手提げカバンに入れて持ち運べるほどのサイズと重量であるため、輸送コストを削減でき、ハンドキャリーも容易としている。
今後の増産は、ベータ版の利用者から得た反応を踏まえて計画するとしている。