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sorano me、衛星データで農地を観測–リンや窒素の過不足を広域で把握へ
2023.10.02 08:00
sorano me(そらのめ、東京都新宿区)は9月28日、5月から京都の農家ヤマダファーム(京都市伏見区)と協業し衛星データで土壌を観測していると発表した。
2019年の設立当初からsorano meは、衛星データが地球規模課題の解決に寄与すると考え、事業を推進。その一環として、4月にパナソニック デザイン本部が主催する宇宙をテーマとした自主研究チームと共同で「アースエクスペリエンスラボ」を立ち上げている。
sorano meによると、デザインの対象がモノからユーザー体験(User eXperience:UX)まで広がる中、これからは“モノ・人・自然”を含む地球全体を包括したデザインが求められると考えているという。
アースエクスペリエンスラボでは、人と地球との関係にも新たなデザイン概念が必要と考え、3次元(大規模・遠距離)や4次元(経年)の情報に地球の外から触れる「アース・サーフェース」という概念を発想。このアース・サーフェースという概念をもとに宇宙起点で人と地球のウェルビーイングとサスティナビリティという両面への貢献を目指して研究していると説明する。
その第一歩として、地球上の植物や動物、人間が生きていくために欠かせない「土」の観測を決定。長期かつ定量的に土の状態を観測することで価値の循環を生み出せるという仮説のもと、土を読み、蘇らせるサービス「ツチヨミ」を構想している。
地球規課題の中から、まずは土壌のリンと窒素の過剰投入に着目し、それを緩和する取り組みとして、衛星データを使った土壌観測をヤマダファームとの協業で開始した。
衛星データで土壌のリンや窒素の投入バランスを観測できるようにするためには、営農中の実際の肥料投入量や土壌の状態の情報と衛星データを連携させていく必要がある。
土づくりにこだわる連携農家を調査する中で、自然由来の堆肥にこだわるだけではなく、肥料投入量や土の状態の情報を細かく管理し、成分バランスの良い土づくりに取り組むヤマダファームからアースエクスペリエンスラボのプロジェクトへの賛同を得ることができ、協業が実現したとしている。
現在、ヤマダファームで管理する土壌の状態を衛星データで観測し、リンや窒素の過不足を広域で観測するシステムの構築を進めているという。