住友商事、米SpinLaunchの日本向け代理店に--遠心力による衛星の打ち上げ目指す

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住友商事、米SpinLaunchの日本向け代理店に–遠心力による衛星の打ち上げ目指す

2023.09.11 07:30

飯塚直

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 住友商事は9月8日、米SpinLaunchと日本向け代理店権に関するパートナーシップ契約を締結したと発表した。

 同社によると近年、世界各国の経済発展に伴い、通信や測位などの需要が高まっているという。これに伴い、データの送受信で必要となる低軌道衛星(LEO)を中心とした宇宙市場が拡大しているが、宇宙への打ち上げ能力の提供が追い付いていない。衛星の打ち上げコストの高騰から衛星を利用したサービスの価格も高止まりしているという

 ハンマー投げの原理と同じように遠心力で衛星を打ち上げようとしているSpinLaunchは、2014年に米カリフォルニア州で設立されたスタートアップ。直径約91mのスチール製真空チャンバー内で約33mのカーボンファイバー製アームを高速回転させ、時速約8000kmで打ち上げる技術を開発している。オンデマンドの打ち上げが可能であり、ロケットと比較して70%以上の燃料コストと二酸化炭素を削減できるとしている。

 SpinLaunchは米航空宇宙局(NASA)と実証実験で契約しており、準軌道(サブオービタル)への打ち上げに10回成功したと発表している。

SpinLaunchの打ち上げ装置(出典:SpinLaunch)
SpinLaunchの打ち上げ装置(出典:SpinLaunch)

 住友商事は、Collins Aerospaceとの合弁事業であるHamilton Sundstrand Space Internationalを通じて、宇宙船の部品、宇宙服の宇宙機関向けの製造と販売、電波観測衛星を開発するHawkeye360への出資など、安全保障含めた宇宙の利活用拡大を推進している。

 2023年7月にSpinLaunchに出資。SpinLaunchのような新技術の社会実装を目指すスタートアップへの投資などにより、宇宙利用を促進し、豊かさと夢のある社会の実現を目指すとしている。

 住友商事とSpinLaunchは、安価でサステナブルな打ち上げ技術と製品の供給を通じて、日本国内外の官民宇宙事業の発展への貢献を目指すという。

SpinLaunch紹介動画(出典:SpinLaunch/YouTube)

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住友商事プレスリリース

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