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紙で人工衛星を開発、軽く丈夫でアンテナ内蔵が可能–テラスペースなど
2022.05.16 16:51
超小型人工衛星の開発を手がけるテラスペース(京都市左京区)と、製紙会社の北越コーポレーションは、筐体が紙できた人工衛星を開発すると発表した(テラスペース、北越コーポレーション=PDF)。
筐体に採用する素材は、北越コーポレーションが開発した「ReCell」。紙を原料としたセルロースナノファイバー(CNF)であり、一般的な紙よりも強度が高く、成形性も優れているという。大気圏突入時には水蒸気と二酸化炭素になるだけなので、地球環境を汚染しないメリットもあるとしている。
ReCellで組み立てた人工衛星は、強度を維持しつつ軽量化が可能と説明。さらに、ReCellは超小型人工衛星でよく使われるアルミニウムと異なり、電波を透過しやすい。そのため、通信用アンテナを衛星内部に搭載でき、衛星を設計する際の自由度が高まるとメリットを解説している。
紙で人工衛星を制作する最終目標に向け、テラスペースが作る超小型人工衛星の初号機「TATARA-1」で、衛星外壁の一部にReCellを使用。2023年に打ち上げ、軌道高度で耐久性などを試験する。
紙ベースの人工衛星第1号「PAPER-SAT」は、2025年に打ち上げる予定。