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宇宙空間での細胞培養、コスト数千万円→数百万円に–ElevationSpaceの小型衛星で打ち上げ

2023.08.31 08:19

飯塚直

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 ユーグレナ(東京都港区)は8月30日、IDDK(東京都江東区)、高砂電気工業(愛知県名古屋市)と共同で、宇宙空間向けの超小型細胞培養モジュールを開発したと発表した。

 微細藻類は、宇宙開発において食料源や酸素供給源として期待されており、現在さまざまな研究が進められている。しかし、限りのある宇宙空間での実験には、資材の軽量化と低容量化が不可欠だという。

 そこで、同社とElevationSpace(宮城県仙台市)は、微細藻類「ユーグレナ」の宇宙培養を目指して、2022年に覚書を締結した。

 その後、小型人工衛星に搭載する超小型細胞培養モジュールの開発を実現するため、顕微鏡の技術をもつIDDKおよび、小型ポンプなどの技術をもつ高砂電気工業との共同開発を開始した。

 今回開発したモジュールは、ElevationSpaceが2025年に打ち上げを予定する小型衛星「ELS-R100」に搭載される。低軌道(地上から200km〜1000kmの範囲)に打ち上げ、微細藻類「ユーグレナ」の培養実験に使用する予定だという。

 同モジュールは、培養状況を観察するIDDKのレンズレス顕微観察装置「MID」と、培地を供給するための高砂電気工業の超小型バルブ・タンクユニットを搭載。総重量200g以下という厳しい制約をクリアし、細胞培養の高度な制御を実現したという。

 今回開発した超小型細胞培養モジュールと、Elevation Spaceの宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R」を組み合わせることで、数千万円規模のコストがかかっていた宇宙空間での細胞実験が数百万円で行えるようになるという。。

 今回開発したモジュールは、微細藻類「ユーグレナ」の成長や挙動の調査だけでなく、医療分野など多岐にわたる研究分野での活用も期待できるという。

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