携帯の電波が届かない現場の遠隔臨場に「Starlink」活用--短時間でネットに接続

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携帯の電波が届かない現場の遠隔臨場に「Starlink」活用–短時間でネットに接続

2023.08.16 16:16

飯塚直

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 ネットワークカメラの映像をクラウドに録画できるサービス「Safie」を開発、運営するセーフィー(東京都品川区)は8月16日、風力発電設備の建設現場となる沿岸部で「遠隔臨場」を実現する実証試験を実施したと発表した。

 セーフィーによると、国内産業は慢性的な人材不足が進行する中、建設業や製造業だけでなく、あらゆる現場を持つ業種でウェアラブルカメラやウェブ会議システムを活用した遠隔臨場が進んでいるという。

 遠隔臨場は、監督員が現場に移動する時間を削減できるだけでなく、熟練者や教育者が本社にいながら各現場の様子をチェックし、複数のスタッフに指示を出したり、アドバイスしたりできるようになるため、効率的に人材を教育、育成することが期待できる。

 トンネル内や沿岸部、山間部など、通信環境が元来悪い場所では、ウェアラブルカメラやウェブ会議システムを安定品質で利用できない可能性もある。通信環境を安定させるため、現場ではシステム設定を見直したり、新しいネットワーク環境を構築したりといったさまざまな工夫を凝らしているという。

 同社は、Safieを通じて、より広いトータルでネットワークシステムを構築。通信環境が不安定なエリアや広域エリアなど、あらゆる環境下でクラウドカメラの活用の幅を広げてきたという。

 今回の実証試験は、キヤノンマーケティングジャパンと協力して提供するウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2」「Safie Pocket2 Plus」を安定稼働させることを目的として実施する。

Safieを構成するウェアラブルカメラ(出典:セーフィー)
Safieを構成するウェアラブルカメラ(出典:セーフィー)
ウェアラブルカメラで撮影した映像は離れた場所で映し出され、指示を仰ぐことができる(出典:セーフィー)
ウェアラブルカメラで撮影した映像は離れた場所で映し出され、指示を仰ぐことができる(出典:セーフィー)

 期間は5月23日~6月7日。秋田県能代市で実施した。

 ネットワーク環境が脆弱な沿岸部で行われている風力発電設備工事現場で既に導入されている「Safie Pocket2」2台と「Safie Pocket2 Plus」1台を、衛星ブロードバンドサービス「Starlink」でのインターネット通信と、屋外メッシュWi-FiルーターによるLAN環境を組み合わせて接続している。

 試験では、Starlinkのアンテナを設置して、移動体通信が届かない場所でインターネット接続手段を短時間で構築。安定した通信環境でウェアラブルクラウドカメラ2台の映像をリアルタイムで確認できたという。

 施工状況と作業内容にあわせてルーターの設置位置を変更することで、事務所エリアや風車建設作業エリアなどインターネット通信が必要な場所が変わった場合にも、フレキシブルに安定したネットワーク環境の構築を確認した。

実証実験での活用イメージ(出典:セーフィー)
実証実験での活用イメージ(出典:セーフィー)

 セーフィーは、通信環境が劣悪な環境下でも、Starlinkと屋外向けメッシュWi-Fiルーターを組み合わせることで安定したネットワーク環境を構築できたことから、今後はさまざまなネットワーク機器や技術を検討、活用し、より多くの条件下でのネットワーク環境の構築を目指すとしている。

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セーフィープレスリリース

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