金型部品のパンチ工業、JAXAと共同研究契約を締結--独自の接合技術を活用

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金型部品のパンチ工業、JAXAと共同研究–独自の接合技術の成立性を検討

2023.08.08 13:48

飯塚直

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 パンチ工業(東京都品川区)は8月4日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同研究契約を締結したと発表した。ロケットエンジンなどに使われる部品について、パンチ工業独自の接合技術「Punch Bonding and sintering」(P-Bas)を活用した製造技術を調査し、成立性を検討する。

 P-Bas接合は、加圧しながら加熱して2つ以上の金属部品を一体化する技術。一般的に、内部に複雑な形状の水管を含有する部品は、金属3Dプリンターで制作されるが、使用材質が限られるという課題がある。

 P-Bas接合では、金属3Dプリンターと比較し、汎用的な特殊鋼全般から選択できるという特徴があると説明。接合部以外は素材強度のまま、接合部は非接合材と比較して90%以上の強度を確保できるという。

 金属3Dプリンターの4分の1程度の時間で作製でき、金属3Dプリンターが使用する粉末金属に対し、汎用的な金属材料を用いるのでコストが抑えられるとしている。

P-Basでの制作例:金型部品(出典:パンチ工業)
P-Basでの制作例:金型部品(出典:パンチ工業)
P-Basはつなぎ目のない接合がメリットという(出典:パンチ工業)
P-Basはつなぎ目のない接合がメリットという(出典:パンチ工業)

 今回の共同研究では、ロケットエンジンなどの部品を加工するのに活用できるほか、同社の主要事業である金型部品の制作でもコストや納期、性能の点で優位性があるという。加えて、耐熱合金材料に対する加熱や加圧の時間や温度、圧力などの最適条件を確立し、試験などで強度を評価する。

 P-Bas接合の加圧方向は一方向であるため、圧力による位置ズレや歪みが生じる課題があると説明。そこで、歪みを改善する方法について、数種類の接合治具で試行し、接合面の形状を測定して評価する。

 パンチ工業は、顧客企業の図面通りに金属加工するオーダーメードの特注品を加工する技術力も生かし、発展が見込まれる宇宙分野への展開を積極的に進め、宇宙開発への貢献を目指す。

関連リンク
パンチ工業プレスリリース(PDF)

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