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月周回めざす宇宙飛行士が、1960年代の超音速機「T-38」で訓練–その理由は

2023.07.24 17:22

塚本直樹

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 米航空宇宙局(NASA)の有人月探査ミッション「Artemis II」に参加するカナダ人宇宙飛行士が、練習機「T-38」の優位性について語っている。

出典:Jeremy Hansen/Facebook/Canadian Space Agency

 Artemis IIでは、4人の宇宙飛行士が「Orion」宇宙船に乗り込み、「Space Launch System(SLS)」で打ち上げられ、月を周回飛行する。

 T-38は1960年代から運用されている超音速ジェット機だ。1966年には墜落事故を起こし、ジェミニ計画の訓練のために搭乗していた2人の飛行士が墜落で死亡。その後も宇宙飛行士を巻き込む死亡事故や緊急着陸などの重大インシデントが発生している。

 しかし 枯れた技術が用いられているためメンテナンス性が高く、事故などのインシデントも運用期間の長さを考慮すれば稀である点。さらに、操作が直感的で飛行士が宇宙で直面するさまざまなシナリオの再現に向くなどの特性があり、NASAはT-38を評価し続けている。また、宇宙航空開発機構(JAXA)も同飛行機を練習機に用いている。

 Artemis IIに参加するカナダ宇宙庁(CSA)のJeremy Hansen宇宙飛行士は、T-38による訓練について「我々がこの飛行機を使うのは、挑戦的だからだ」と語っている。

 コックピットでは2人の宇宙飛行士が一緒にチームとして働き、宇宙でのミッション成功に不可欠なチームワークを養う。そして、音速飛行中という高ストレス下での迅速な判断や、計器類を正確にチェックするなどの能力は、宇宙飛行時にも必須となる。

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