小型SAR衛星のSynspective、2機の打ち上げをRocket Labに委託--軌道投入に3回成功

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小型SAR衛星のSynspective、2機の打ち上げをRocket Labに委託–軌道投入に3回成功

2023.07.14 17:26

飯塚直

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 小型の合成開口レーダー(SAR)衛星を開発、運用するとともに衛星データとソリューションを提供するSynspective(東京都江東区)は7月14日、アメリカとニュージーランドに拠点をもつRocket Labと新たな打ち上げ契約を締結したと発表した。新たに2機の打ち上げをRocket Labへと委託する。

 Rocket Labは、2020年12月に「StriX-α」、2022年2月に「StriX-β」、2022年9月に「StriX-1」とSynspectiveの衛星をこれまでに3回打ち上げ、軌道投入に成功している。

 Rocket Labの卓越した信頼性と精度は事業に不可欠なものであり、今後も密に連携しながら打ち上げを成功させることで、より一層顧客ニーズに則したデータとソリューションサービスの強化に取り組んでいくとSynspectiveは説明している。

 Synspectiveは、独自の小型SAR衛星で高頻度で観測できるコンステレーション(衛星群)を構築。衛星から得られるデータを販売するとともに、多様な衛星やIoTのデータなどを機械学習やデータサイエンスを組み合わせ、政府や企業にソリューションを提供していくとしている。

(出典:Synspective)
(出典:Synspective)

 StriX-αは、観測やデータ取得をはじめとする機能検証、StriX-βは地表のミリ単位の変動を検出する解析技術「InSAR」の軌道上実証が目的。

 StriX-1は実証商用機。実証機であるStriX-αとStriX-βからバッテリーを改良するとともにダウンリンクの速度を高速化させて、取得するデータ量を増やしている。

 同社のStriXシリーズは、重さが従来の大型SAR衛星の約10分の1である100kg級、開発と打ち上げの費用が大型SAR衛星の約20分の1という。大型SAR衛星と同等に近い性能ながら、小型化、軽量化で低価格化を図ることで多数機生産が可能と説明している。

 StriXシリーズは、長さ5mのSARアンテナが打ち上げ時には格納していて、軌道上で展開する。地上分解能は1~3m、観測幅は10~30km、単偏波データを取得する。

 観測モードは「ストリップマップ」と「スライディングスポットライト」の2つがある。

 ストリップマップモードは、パルスの送信方向が衛星の軌道に直交する方向に一定に保持される。レーダーのアンテナは常に横方向に向けられ、照射領域は衛星の飛行とともに地表を移動する。衛星の軌道に対して平行に多数の画像を連続して撮像できる。

 スライディングスポットライトモードは、パルスの送信方向を衛星の飛行方向と逆向きに振ることで、ストリップマップモードよりもゆっくりと照射領域が地表を移動する。ストリップマップモードよりも高解像度で撮像できると言われている。

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