ニュース

Starlinkから漏れ出たラジオ波、電波望遠鏡に悪影響–宇宙の理解を妨げる可能性

2023.07.11 16:54

塚本直樹

facebook X(旧Twitter) line

 Space Exploration Technologies(SpaceX)の衛星ブロードバンド「Starlink」から低周波数のラジオ波、電波天文観測に悪影響を与えていることが、学術誌「Astronomy & Astrophysics」に報告された。

 Starlinkでは地球低軌道(LEO)に大量の衛星を展開することで、高速かつ低遅延な衛星インターネットを提供してる。これまでも同衛星コンステレーションでは、太陽光を反射することで天体観測への悪影響が指摘されていた。

 オランダの電波望遠鏡「LOFAR」を使用した研究者によれば、Starlinkの衛星に搭載された電子機器から漏れ出たラジオ波により、その観測が妨害されているという。LOFARが検出する周波数が、Starlink衛星からのノイズと一致したというのだ。

 通常、電波望遠鏡は地上からの電波の影響を避けるため、携帯電話やテレビ、ラジオの使用を禁止された地域に設置される。しかしStarlinkの衛星は上空を飛行するため、意図しない形でその観測の障害となった。さらに衛星コンステレーションが拡大するに伴って影響も大きくなり、電波望遠鏡で宇宙を理解する取り組みを妨げる可能性が指摘されている。

(出典:ASTRON/ Danielle Futts)

Related Articles