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米AST、衛星とスマホの直接通信で下り10Mbps超を達成–楽天モバイルが採用予定

2023.06.22 06:34

小口貴宏(編集部)

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 衛星とスマートフォンの直接通信を目指す米AST SpaceMobile(AST)は現地時間6月21日、複数の既成スマートフォンを使用して衛星経由のダウンロード試験を実施し、下り10.3Mbpsを達成したと発表した。

 ASTは、宇宙空間から地上のスマートフォンに向けて、直接4G / 5Gエリアを構築することを目指している。その際には地球低軌道(LEO)の衛星コンステレーション(衛星群)を活用する。また、スマートフォンからの微弱な電波を捉えるため、衛星には巨大なアンテナが搭載される。

 6月に米国ハワイで実施した今回の試験では、試験衛星「BlueWalker 3」を活用。AT&Tの周波数帯と、改造を施していない既成のスマートフォンを用いて4G LTEの下り通信をテストした結果、最大10.3Mbpsの初速を達成したという。また、今後は5G通信も試験するという。

 同社は4月25日に衛星経由の音声通話に成功していた。今回、新たにデータ通信にも成功したことで「大きなマイルストーンになった」とAST側はコメントした。

 ASTは今後、本衛星となる5機の「Block1 BlueBird」を2024年Q1以降に打ち上げるほか、試験衛星BlueWalker 3の追加機能の試験を継続的に実施する方針だ。

楽天モバイルが採用予定

 ASTには楽天グループも出資している。楽天モバイルは「スペースモバイル計画」として、2024年度以降の自社網にASTの衛星通信サービスを取り入れる方針だ。

 日本国内では、2022年11月に実験試験局免許の予備免許を取得しており、今後は本免許が付与され次第、国内での通信試験と事前検証を開始するとしている。

 楽天グループで代表取締役会長兼社長を務める三木谷浩史氏はAST回線について「おそらく2Mbps出る。YouTubeも見られる」と発言していた。

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