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欧州が「原子力電気推進」ロケットの研究に資金提供–そのメリットは?

2023.05.09 18:26

塚本直樹

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 欧州宇宙機関(ESA)は深宇宙探査のために、原子力推進を利用する複数の研究へと資金を提供している。

 原子力推進には複数の方式があるが、ESAが取り組んでいるのは原子力電池で生み出した電力を利用した「原子力電気推進(NEP)」だ。

 この方式では、発電した電気で電離させた推進剤を、電磁気力で後方へ噴出することにより推進力を得る。生じる推進力は大きくないが、比推力が高く、従来の化学的な推進剤を利用する場合に比べ、より遠方の宇宙探査に向いているとされる。

 ESAから資金提供を受けている研究プログラム「RocketRoll」のメンバーのJan Frýbort氏は、「原子力推進は化学推進よりも効率がよく、また太陽に制限されない」と、そのメリットを語っている。

 ESAから資金を得たプロジェクトは今後11カ月間、同宇宙機関の「未来ロケット準備プログラム(FLIPP)」として調査を行い、その実用性を研究する予定だ。

(出典:ESA)

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