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豊田市での衛星データ活用した水道管漏水可能性判定、的中率は3割
2023.04.19 12:49
JAXAベンチャーである天地人(東京都港区)は4月18日、愛知県豊田市上下水道局、フジ地中情報(東京都港区)と連携して実施した実証実験の結果を発表した。
2022年2月1日~2023年3月31に豊田市全域で実施。衛星画像を人工知能(AI)で解析し、漏水可能性区域を判定した結果、豊田市全域で249の漏水可能性区域を判定。249の漏水可能性区域内で実際に漏水調査(路面音聴調査)を実施したところ、そのうち65区域77カ所で漏水を確認した(的中率は約3割)。
豊田市での過去の実証実験と比較すると、1区域あたりの判定可能範囲が直径200mの円範囲から約100m四方に狭まり、漏水調査対象範囲が約3分の1に縮小したことで調査効率が向上したという。
豊田市では、今回の実証実験から衛星画像を活用した漏水調査の有効性、業務の効率化が確認できたと評価。天地人と緊急時に水道管を迅速に調査するために、改めて「緊急時における漏水リスク評価に関する覚書」を締結した。
ここで言う緊急時とは、地震が発生した後に、地震の後でも継続する地盤の動きである「余効変動」、工事に起因する水圧変化などから、市が広範囲で漏水が多発する可能性が高いと判断した時を指している。
天地人が開発した「漏水リスク評価システム」は、給水する水量と料金として収入のあった水量との比率である「有収率」の向上が目標。豊田市上下水道局で実証実験を行い、新たに開発したものとなる。
漏水リスク評価システムは、複数の衛星から得られる、漏水に影響を及ぼす環境要因になる地表面温度、気象データ、植生変化、光学衛星や合成開口レーダー(SAR)衛星の画像などのデータと、水道事業体が保有する材質や使用年数、漏水履歴など水道管路のデータを組み合わせ、独自のアルゴリズムをもとに解析することで、高精度で漏水可能性区域を判定する。
漏水リスク評価によって選定された高リスク区域について、高い発見率で特定できるのが特徴と説明。従来の衛星データを利用した漏水検知技術では対応できなかった、水道管の亀裂による小さな漏水、コンクリートの路面下、山間部、湧水周辺などの複合的な環境での漏水調査にも活用可能。漏水の速やかな削減や水道管路を効率的に管理できるという。
天地人は、漏水リスク評価の結果を検証し、判定精度の向上を図っていく。漏水リスク評価という科学的根拠のある解析手法を提供することで、豊田市上下水道局による漏水調査の業務効率化や安全、安心な環境作りに貢献していくとしている。