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民間月探査「HAKUTO-R」、月周回軌道への投入が完了–4月下旬に月着陸へ

2023.03.22 14:22

佐藤信彦

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 ispace(東京都中央区)は、民間月探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1で打ち上げた月着陸船(ランダー)について、最初の月周回軌道投入マヌーバでランダーの月周回軌道投入を完了させた。

 ミッション1のランダーは、Space Exploration Technologies(SpaceX)のロケット「Falcon 9」に搭載され、米フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地から2022年12月11日に打ち上げられた。2022年12月15日に初回の軌道制御マヌーバ、2023年1月2日に2回目、2月2日に3回目、3月17日に4回目を完了させ、予定通り月周回軌道投入に向けた軌道を航行していた。

 3月21日に最初の月周回軌道投入マヌーバを実施し、月周回軌道への投入が完了。このマヌーバでは主推進系の燃焼時間が数分間とこれまでに比べ長く、ランダーが設計通りに機能することの証明になったという。

月着陸までの予定軌道(出典:ispace)
月着陸までの予定軌道(出典:ispace)

 ミッション1では、打ち上げから着陸までの間に10段階のマイルストーンを設定しており、それぞれに設けた成功基準(サクセスクライテリア)を達成することを目指している。ランダーを月周回軌道へ投入できたことで、マイルストーン「サクセス7」までクリアできたことになる。

 今後は、着陸シーケンス前に計画されている軌道制御マヌーバを月周回軌道上で実施し、4月下旬の月面着陸を目指す。

  • サクセス8:月周回軌道上でのすべての軌道制御マヌーバの完了
  • サクセス9:月面着陸の完了
  • サクセス10:月面着陸後の安定状態の確立
ミッション1の流れ(出典:ispace)
ミッション1の流れ(出典:ispace)

 ミッションの途中で何らかの課題が発生した場合でも、その時点までに得たデータやノウハウなどの成果を正確に把握したうえで、2025年までに後続するミッション2、そして「Artemis」計画に貢献するというミッション3へとフィードバックする。これらの取り組みによって、技術と事業モデルの信頼度と成熟度を商業化に足る水準にまで高めることを計画している。

4月下旬の月着陸を目指す(出典:ispace)
4月下旬の月着陸を目指す(出典:ispace)

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