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ソニーの衛星「EYE」、宇宙で「水エンジン」の噴射に成功–Pale Blueが開発

2023.03.13 18:00

小口貴宏(編集部)

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 水蒸気式推進機(水エンジン)を開発するPale Blue(千葉県柏市)は3月13日、ソニーの人工衛星「EYE」が、軌道上で水エンジンの噴射に成功したと発表した。

 ソニーの人工衛星「EYE」は、Pale Blue製の水エンジンを搭載し、2023年1月にSpace Exploration Technologies(SpaceX)のロケットで打ち上げられた。3月3日に初めて実施した水エンジンの噴射で、2分間の作動を実施し、得られたデータから推力の生成を確認したという。

 同エンジンは、水が気化させて生じる水蒸気の噴出を推進力とする。つまり、水を推進剤とするために、従来推進剤に用いられるキセノンやヒトラジンのような危険性なく、超小型衛星に搭載した場合に取り扱いが容易でコストを抑えられる。EYEでは、高度500〜600kmへの軌道投入に水エンジンを使用する計画となっている。

Pale Blueが開発した水エンジンのサンプル品(NIHONBASHI SPACE WEEK 2022で撮影)

 Pale Blueは2020年に創業した東京大学発の宇宙ベンチャー。小型衛星実用化の課題となっている推進機に技術革新を起こすことで、次世代の宇宙モビリティインフラの構築を目指すとしている。

 ソニーの「EYE」は、同社が宇宙航空研究開発機構(JAXA)らと推進するSTAR SPHEREプロジェクトによって開発された超小型衛星。高性能カメラを搭載し、一般の人々が地上からの遠隔操作によって好きなアングルで撮影できる「宇宙撮影体験サービス」の提供を2023年内に予定している。

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