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東海大学の学生、ロケット打ち上げ実験に成功–高度416mに到達、機体を回収

2023.03.09 08:00

飯塚直

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 東海大学の学生がロケットの打ち上げ実験に成功した。アジア初の民間企業にひらかれた商業宇宙港「北海道スペースポート」(HOSPO)を整備、運営するSPACE COTAN(北海道大樹町)が3月8日に発表した。

 ロケットを打ち上げたのは「Tokai Student Rocket Project(TSRP)」。1995年に発足したTSRPは、宇宙技術者を目指す学生が実践的な知識や技術を得ることを目的としている。例年、秋田県の能代宇宙イベントと大樹町で1回ずつ、年に2回打ち上げている。2004年から実験を続けてきたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、今回は5年ぶり。

 前回から強度を高めた機体は無事に打ち上がり、将来の宇宙空間到達と超音速飛行に向けた技術実証に成功したと説明。打ち上げ経験を積むことができたとしている。

 今回の打ち上げについては、ロケットの打ち上げ経験を得るとともに、最終目標の高度100km以上の宇宙到達に向けて次機体以降の開発方針を明確にすること。確実な打ち上げとロケット回収後の解析を図り、数年後の超音速機につながる技術実証を目的として「ハイブリッドロケット57号機」を打ち上げた。

 3月4日の実験では、予定通りエンジンを燃焼し、打ち上げ後9.32秒で高度416.45mまで到達。パラシュートを開いて、射点から北北東440mの地点に落下し、機体を回収している。

 今回打ち上げたハイブリッドロケット57号機は、2016年の打ち上げ時にロケット先端のノーズコーンが脱落し、機体が空中分解したことから、ノーズコーンを分離する機構を改良し強度を高めているという。

機体の概要(出典:SPACE COTAN)
機体の概要(出典:SPACE COTAN)

 機体は市販のガラス繊維強化プラスチック(GFRP)チューブを主体としたモジュール構造を採用。アルミニウム合金製のリングで6個のモジュールを結合している。固体燃料はろう。酸化剤には液化亜酸化窒素を採用し、推力は660N(67.3kgf)だという。

 ロケットは全長が2.045m、直径が154mm、乾燥重量が10.725kg、酸化剤含む重量が11kg。

打ち上げ時の様子(出典:SPACE COTAN)
打ち上げ時の様子(出典:SPACE COTAN)

 HOSPOは、1000mの滑走路やロケット発射場などを使った航空宇宙分野の実験が多数行われているという。2021年度は、インターステラテクノロジズや宇宙航空研究開発機構(JAXA)、SKyDrive、電気通信大学、三菱重工業、室蘭工業大学などがロケットの打ち上げ、大気球、空飛ぶクルマ、ドローンなど計30件の実験を実施した。

HOSPO(出典:SPACE COTAN)
HOSPO(出典:SPACE COTAN)

 今後は、航空宇宙事業者の研究開発をより支援していくために、新たなロケット発射場「Launch Complex-1(LC-1)」の整備(2023年度完成予定)と、滑走路の300m延伸(2024年度完成予定)など、実験環境の整備を進めていくとしている。

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