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衛星の部品や機器の宇宙実証プログラムにアクセルスペースの「D-SAIL」採用
アクセルスペース(東京都中央区)は2月28日、「小型衛星用膜面展開型デオービット機構の軌道上実証」(D-SAIL)が宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「革新的衛星技術実証」4号機の実証テーマに採択されたと発表した。
2022年10月に軌道投入に失敗した3号機(「イプシロン」6号機)の実証テーマのうち、再チャレンジを希望する11件について4号機と5号機での機会提供を決定したことに伴う採択となる。
D-SAILは、「三軸織物」の技術をベースに研究開発し、人工衛星用アンテナ材料では世界のシェア69%というサカセ・アドテック(福井県坂井市)と同社が協力して開発したデオービット機構(軌道離脱装置)。人工衛星の運用終了後に起動し、大きな膜面を展開、大気圏への突入の短縮を図る機構となる。低軌道にも大気は薄く存在し、膜面が抵抗となり、衛星の軌道運動にブレーキをかける。
人工衛星の打ち上げ増加などの理由から近年、宇宙ゴミ(スペースデブリ)問題は深刻なものとなりつつある。アクセルスペースは、最も重要な対策は、今後さらにデブリを増やさないことであり、新たに打ち上げられる衛星すべてが運用終了後に、一定の期間内で軌道高度を下げ、大気圏に突入させることであると考えているという。
そこで、デブリ問題に対応するため、運用終了後の衛星が軌道上に残存する期間をさらに低減させるための機構として、D-SAILを開発している。今後、衛星への本格的な搭載に向け、今回の軌道上実証の機会を最大限に生かし、開発システムを検証する予定だという。
JAXAが進めている「革新的衛星技術実証プログラム」は、超小型衛星などを活用した新規要素技術を実証、新規事業につながる技術を実証することが目的。宇宙基本計画で示された「産業・科学技術基盤を始めとする宇宙活動を支える総合的な基盤の強化」の一環。
大学や研究機関、民間企業が開発した部品や超小型衛星、キューブサットに宇宙で実証する機会を提供するプログラムであり、部品単位で軌道上実証できる機会としては唯一と説明している。開発された機器や部品をJAXAの人工衛星に搭載して打ち上げ、約1年間宇宙で運用して得られたデータは提案者に提供される。