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新型ロケット「H3」初打ち上げ、2月15日に–地球観測衛星「だいち3号」搭載
2023.02.10 16:57
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月9日、新型基幹ロケット「H3」の「試験機1号機(H3・TF1)」の打ち上げについて、2月15日に再設定したと発表した。種子島宇宙センターから打ち上げる。貨物(ペイロード)として先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)を搭載している。
時間帯は、午前10時37分55秒~同10時44分15秒。予備期間を2月16日~3月10日と設定している。
打ち上げ日程は当初、2月12日に予定していたが、同じ種子島宇宙センターを使用した「H-IIA」ロケット46号機の打ち上げの延期から2月13日に変更。打ち上げ当日の風の状況を踏まえて飛行計画を更新するシステムに確認を要する事項が認められたことから、同対応のため打ち上げ準備作業を数日延長していた。
今回、打ち上げ当日の風の状況を踏まえて、飛行計画を更新するシステムが正しく動作することを確認したことで、打ち上げを2月15日に再設定した。JAXAは、2月15日の打ち上げ可否については、2月10日以降の天候状況を踏まえ、再度判断するとしている。
ALOS-3は、陸域観測技術衛星「だいち」(Advanced Land Observing Satellite:ALOS)の光学ミッションを引き継ぐ地球観測衛星。三菱電機がプライムメーカーとして設計と製造を担当する。
2006~2011年に運用していたALOSは、光学センサーとレーダセンサーの両方を搭載。レーダセンサーを搭載した陸域観測技術衛星「だいち2号」(ALOS-2)は2014年に打ち上げられ、現在も活動。レーダセンサーを搭載する先進レーダー衛星「だいち4号」(ALOS-4)は現在開発中。
ALOS-3は、1号と比べ大型化、高性能化したセンサーを搭載し、1号の広い観測幅(直下70km)を維持しつつ、さらに高い地上分解能(直下0.8m)を実現するという。同センサーで全地球規模の陸域を継続的に観測し、蓄積した平時の画像や災害発生時の画像を防災や災害対策などを含む広義の安全保障に活用していく方針。
観測画像は、国内や途上国の高精度な地理空間情報の整備や更新に活用されるほか、多様な観測バンドによる沿岸域や植生域の環境モニタリング、土地被覆分類など、さまざまな分野での利用を期待している。パスコが観測画像の配布事業を担当。衛星データの利用における民間事業者の知見を生かし、利用拡大を目指すとしている。