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DigitalBlast、民間主導の宇宙ステーション構想を発表–「ポストISS」を狙う
2022.12.12 13:46
DigitalBlast(東京都千代田区)は12月12日、日本国内初の民間主導で宇宙ステーションを作る「民間宇宙ステーション(Commercial Space Station:CSS)」構想を発表した。2030年までに最初のモジュールを打ち上げるという。
日本政府は、国際宇宙ステーション(ISS)運用延長に参加することを表明しているが、ISSは2030年に運用を終える予定となっており、ISS退役後を見据えた、ポストISSの検討を進める必要がある。
米国では、米航空宇宙局(NASA)が主導する「商用地球低軌道開発(Commercial Low earth orbit Destinations:CLD)」プログラムで選定されたBlue Origin、Nanoracks、Northrop Grummanの3社と、2020年台半ばに世界初の商用宇宙ステーションの打ち上げを目指すAxiom Spaceが中心となり、ポストISSを担う宇宙ステーションの開発が進められている。
日本国内では具体的な動きが未定となっているほか、月探査計画「Artemis」をはじめとした有人宇宙探査が盛り上がりをみせており、月周回有人拠点「Gateway」や月面での活動に向けた取り組みも並行して検討する必要がある。
同社はこうした状況を踏まえ、日本国内初の民間主導での宇宙ステーションを建設するCSS構想を立ち上げた。
CSSでは、通信やドッキング機構、クルー居住施設などの機能を持つ「居住・コア」(Habitat & Core Module)に加え、「サイエンス」(Science Module)、「エンタメ」(Entertainment Module)の計3つのモジュール構成で計画。
サイエンスモジュールでは、宇宙実験の環境や資源採取にかかる機能を提供。同社が開発を進める小型ライフサイエンス実験装置「AMAZ(アマツ)」をはじめとする宇宙実験装置を設置し、企業や研究機関の実験環境として提供する。
サイエンスモジュールは、小惑星で採取した資源や燃料などの保存・貯蔵・供給のプラットフォームにもなるという。惑星資源の地上回収のほか、宇宙ステーション内で3Dプリンターによるオンデマンド生産機能を実装し、「宇宙空間での製造」(In-Space Manufacturing:ISM)の実現を目指す。
エンタメモジュールは、宇宙ステーションに滞在するクルー向けのエンターテインメントとしての多目的空間提供に加え、仮想現実(VR)やメタバースを活用し地上の一般消費者が宇宙空間を楽しむことができるサービスを提供。多目的空間では、スポーツやホテル、撮影スタジオなどの利用も想定する。
米国で先行する民間宇宙ステーション開発において、日本国内の民間主導で宇宙ステーションを構築することをゴールとしており、同社が主導となり、協力企業とともに2030年までに1つ目のモジュールの打ち上げを目指す。
DigitalBlastは、CSS構想を実現に向けた取り組みの中で民間主導のt地球低軌道(LEO)経済圏や、Artemis計画に主導される月・火星の経済圏の創出に加え、宇宙ステーションを拠点とする惑星間の探査機の往復を可能にし、「現地調達における資源活用(In-Situ Resource Utilization:ISRU)」に基づいた、「地球近傍小惑星(Near-Earth Asteroids:NEAs)」の探査から資源活用する惑星間経済圏を創出するシナリオを描いているという。