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アークエッジ・スペース、月探査機「EQUULEUS」の運用に参画–オフィス集約、従業員も大幅増員
2022.12.12 11:01
アークエッジ・スペースは、月へ向かう超小型探査機「EQUULEUS」(エクレウス)の運用に参画したと発表した。それに伴い開催した事業報告会では、オフィスを東京都江東区有明に集約し、今後の事業拡大に向けて人員も大幅に増やしたことも明かした。
EQUULEUSは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と東京大学が共同開発した、6Uサイズ(約10cm×20cm×30cm)の超小型探査機だ。月の重力をうまく使って軌道を遷移する「月スイングバイ」を用いて、将来は「地球―月のラグランジュ点」まで、効率的に到達することを目指している。同地点は深宇宙探査における拠点候補と考えられている。
EQUULEUSは、米国航空宇宙局(NASA)が主導する月面探査プログラム全体「Altemis」計画の第一弾の「Artemis I」ミッションにおいて、他のペイロードと共に2022年11月16日に打ち上げられている。
アークエッジ・スペースは、東京大学からの委託を受け、EQUULEUSの宇宙空間での初期運用業務に参画し、初期運用業務の完了と定常運用への移行に貢献したという。
EQUULEUSは、太陽、地球、月圏における軌道制御技術の実証を進めるとともに、ラグランジュ点に向かう長い航行期間を活用した3つの科学観測ミッションを進めるという。
オフィスを有明に集約、従業員も約50人に
アークエッジ・スペースは東京大学の中須賀研究室と連携し、2018年に創業した。同研究室はキューブサイズ衛星、いわゆる「キューブサット」を世界で初めて成功させたことで知られている。
同社は東京大学で培った超小型衛星技術の事業化を目指しており、超小型衛星、地上局整備、関連部品の設計製作などのハードウェア事業に加え、人工衛星運用サービスの提供、関連するソフトウェア開発、教育コンサルティングなどを手掛けている。
これまで、オフィスは東京大学と日本橋に分散していたが、直近では東京都江東区有明に集約。従業員数も1年前の10名程度から現在では50人以上に増員した。累計の資金調達額は27億円だという。
今後は、宇宙からのIoT通信や地球観測、海洋での次世代船舶自動識別装置(AIS)とされる「海洋VDES」に対応した衛星コンステレーションの構築や、月面活動にむけた衛星コンステレーション構築に必要となる超小型人工衛星の開発及び実証に取り組り組むとしている。