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Starlinkでauエリアを構築、清水建設がKDDIのソリューションを採用–北海道新幹線の工事で

2022.12.05 13:27

飯塚直

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 KDDIは12月5日、Space Exploration Technologies(SpaceX)の衛星ブロードバンド「Starlink」を活用したauエリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」を清水建設が採用したと発表した。12月19日より北海道新幹線の「渡島トンネル上二股工区」で運用が開始されるという。

 一般的に山間部の建設現場では、光ファイバーの敷設に大規模工事が必要であることから通信環境整備が困難だ。そのため、連絡手段としての携帯電話利用や、図面の電子化や現場監視用の映像伝送ができないなど、建設現場のDXが進められないことが課題となっていた。

Starlinkを用いたau基地局(画像は静岡県熱海市のもの)

 今回運用を開始する北海道新幹線 渡島トンネル上二股工区は、携帯電話の通信エリア外であるため、携帯電話を利用するために通信可能なエリアまで10分かけて移動する必要があった。加えて、工事現場ではさまざまな機器を同時に接続する必要があり、高速かつ安定した通信手段を確保するためには、通信設備を構築しなければいけない課題があった。これを解決するために、清水建設は「Satellite Mobile Link」を活用することになった。

 KDDIのSatellite Mobile Linkは、光ファイバーの敷設が困難な山間部や島しょ部において、衛星回線のStarlinkをバックホール回線としてau基地局を展開する。これによって、光ファイバーを引けないために通信環境を設置できなかった場所でもDX環境の導入が可能となる。KDDIはSatellite Mobile Linkを企業や自治体向けに、スポットでの携帯エリア構築需要に応えるソリューションとして提供している。

 同サービスの導入により、これまで携帯電話が繋がらなかった工事現場における音声通話のほか、建設現場と事務所、および本支店間の大容量データの安定した伝送を可能とし、情報伝達の効率性と即時性の向上が期待できるという。

 また、建設現場のDX化が進むことにより、作業の高効率化から働き方改革の推進にもつながり、従業員満足度向上も期待できるとしている。

 KDDIでは、Satellite Mobile Linkを建設業界だけでなく、さまざまな業界にも提案し、高速通信がつながり続ける環境を提供。環境提供による法人企業・自治体のDXを支援することで、社会課題の解決を目指すとしている。

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