ニュース
月を周回する宇宙ステーション「Gateway」協力で日米合意
2022.11.18 15:42
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月18日、永岡桂子文部科学大臣と米航空宇宙局(NASA)のBill Nelson長官の会談で、月周回有人拠点「Gateway」のための日米間の協力に関する実施取り決め(Implementing Arrangement:IA)に署名したと発表した。
今回のIAは、2020年12月に日本国政府とNASAとの間で締結されたGateway了解覚書(Memorandum of Understanding:MoU)での協力内容を具体化するものになるという。2030年までの国際宇宙ステーション(ISS)の運用延長に日本政府が参加することも公表された。
文部科学省では、2019年10月に宇宙開発戦略本部で決定した米国提案の「Artemis」計画への参画方針に従い、2020年12月にMoUを締結している。
今回、永岡文部科学大臣は、Nelson長官と日米の協力事項の詳細を規定する月周回有人拠点であるGatewayのIAに署名した。
Gatewayは、月面や火星に向けた中継基地として、米国の提案のもと、主にISSに参加する宇宙機関から構成された作業チームで開発。質量は、ISSの6~7分の1で、2024年ごろから組み立てフェーズが予定されており、将来的には4人の宇宙飛行士による年間30日程度の滞在が想定されている。
Gatewayは、Near Rectilinear Halo Orbit(NRHO)と呼ばれる軌道にあることで軌道面が常に地球を向いていることから地球との通信を常時確保。NRHO軌道は、地球からの到達エネルギーが月の低軌道に到達するのに必要なエネルギーの70%程度とされ、輸送コストが比較的小さくなるというメリットがあると考えられている。NRHO軌道はまた、月の南極を見えている時間が長く、月の南極探査の通信中継としても都合がいい軌道といわれている。
JAXAでは、これまでにISSや有人宇宙活動、宇宙ステーション補給機「こうのとり」で培った技術を活用した参画を検討。具体的には、居住機能、補給での貢献を念頭に、Gatewayのミニ居住棟(HAbitation and Logistics Outpost:HALO)への機器の提供、欧州宇宙機関(ESA)やNASAと連携した国際居住棟(International HABitation module:I-HAB)のサブシステム(環境制御・生命維持装置)での参画を想定している。
地球からGatewayへの物資補給には、こうのとりを改良し、現在開発中の「HTV-X」に月飛行機能を追加して使用することを検討するという。