インタビュー

JAXA職員が民間企業で働く「越境プログラム」がもたらす意外な効果(前編)

2022.09.05 08:30

林公代

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――今後、企業と共創するうえで視点が変わりましたか?

島氏:fibonaは資生堂の中では小さな活動ですが、小ロットでいいからいいものを作るというときその数が1万だと。事業になれば桁が1つ2つ変わると聞きました。

 JAXA(で作る人工衛星など)は1機とか、私なんかまだゼロ(笑)。市場を見る企業とわれわれの価値観とか拠って立つところが違う。一緒に共創して社会実装を目指そうとなったときに、物の見方を変えていかないといけない。企業さんは共同研究をするが、最終的には売りたいんだということを念頭において話をしていく必要があるなとつくづく思いました。

宇宙旅行を旅行者の視点でデザインする

――長福さん、IDEOでの仕事の内容と気付きを教えてください

長福氏:僕はJAXAにない何かを学べないかと思って、「宇宙旅行の体験をデザインする」というプロジェクトを行いました。彼らがクライアント相手に行っているコンサル事業には外部の人は入れない。そこで僕のために1カ月のプロジェクトを作ってくれたんです。

 具体的には、宇宙にパッションをもつIDEOの森智也さんと、宇宙とデザインの交点を模索するチャレンジを行いました。彼らの得意技は、「ヒューマンセンタードデザイン」。

 人間中心の物事をとらえてデザインしていくというアプローチです。方や、宇宙事業は誰のために、というと結構難しい。比較的人が見えやすいのは宇宙旅行だろうと。ちょうど、2021年は宇宙旅行元年だと言われましたから。

――宇宙旅行のデザインは今までのJAXAのアプローチと何が違うんですか?

長福氏:今までの宇宙開発は人に焦点を当てるより技術ベース。見方を変えれば、何か気付きが得られるのではないかという目的です。始めた時点では何が出てくるのか完全に不透明でした(笑)。

後編はこちら

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