特集
オーストラリア、インド、日本から考える–APACでの宇宙ビジネスの存在意義
民間企業市場拡大を考えるインド
インドも宇宙ビジネスに参入する民間企業が活発に動いているとされている。SIA-IndiaのPrakash氏は「インド政府はポジティブだ。政府内に民間の注意報システムを作るような組織があり、インドは大きな国のため、衛星アプリケーションの大きなユーザーになる」と同国の状況を解説した。
続けてPrakash氏は「そのためには民間企業向けの市場を作らなければならない。(インドには)50の巨大メーカーや100のスタートアップ企業があるものの、それぞれ独自のソリューションを持ち、商品も異なる。他の国と協力すれば成長機会を得られるだろう。インドがパートナー顧客となる。APACの国々や日本、イギリス、米国と協力していくが、そこには制約もある」と説明した。
「例えば、オーストラリアがインドで宇宙関連製品を開発する場合、さまざまな許可が必要だ。もう一つはラボテストの欠如。各課題を解決し、迅速に進めたい」(Prakash氏)
日本、オーストラリア、インドが考える業界の協力体制
宇宙ビジネスが継続的成長を遂げる上で必要なのが、国際連携とプレーヤーの多様化を踏まえた業界全体の協力体制と言える。モデレーターの石田氏は、登壇者それぞれにアイデアを聞いた。
経産省 伊奈氏「日本企業は製造業に優れており、スタートアップ企業も小型衛星(の開発)に携わってきた。例えば、オーストラリアのセンサーを、日本が製造した小型衛星に搭載するアイデアも考えられる。モチベーションを高め、協力(体制)を促進させるための第一ステップとして効果的だろう。宇宙セクターは常に政府の活動と緊密に連携してきた。二国間で対応する官民対話を各国で行っていくのが基本だ」
SIAA Parsons氏「互いに補完しあう。ASEANだけでも6億人が暮らしているが、(宇宙ビジネスの)ニーズがどこにあるのか、顧客がどこにいるのか、個々の国が独自に対応するのは難しい。宇宙以外の分野に知見を持つ、経験豊富な企業のサポートも必要だ」
SIA-India Prakash氏「同感だ。われわれがもっとも協力を要する分野の一つが人材育成。例えば、6万7000の大学で宇宙工学を扱うのは一部。日本やオーストラリアと協力しながら(課題を)乗り越えたい」