特集
日本から超小型衛星を宇宙へ–「新」宇宙輸送サービスへの期待と課題
2022.03.22 08:00
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鬼塚氏は宇宙輸送、宇宙旅行・滞在、衛星インフラ、軌道上サービスなど宇宙事業チームのさまざまな取り組みを紹介したが、超小型衛星というテーマに最も近いのは、米Virgin Orbitと行う衛星打ち上げサービスだろう。ANAホールディングスは2021年、Virgin Orbitと人工衛星打ち上げ事業に関わる基本合意書を締結した。
Virgin Orbitは大分空港からBoeing 747を改良した小型ロケット運搬機を離陸、上空で小型衛星を搭載したロケットを切り離し、その後ロケットから衛星を放出する。
「Virgin Orbitと提携しながら打ち上げサービスを日本で展開する手助けをしている。私どもに技術はないが、彼ら(Virgin Orbit)がロケットに搭載するスペースを衛星事業者に販売するビジネスモデルを考えている」(鬼塚氏)
日本の強み–技術水準の高さ
3社の事業紹介が終わったところで、進行役の“宇宙キャスター”榎本麗美氏から「日本で超小型衛星打ち上げサービスを展開していく上で、欧米と異なる日本の強みは何か」について質問があった。
阿部氏は「日本は東と南に太平洋があって開けていること。政治的には世界のどこの国ともビジネスができること。そして信頼性と安全性が総合的なブランド力になる」と発言。
稲川氏も「現在ISTにトヨタや古河電工、日揮から出向でエンジニアの方々に来て頂いているが、技術基盤があることを実感する」と具体例を挙げた。特に燃焼系や電子技術は相当技術がありポテンシャルがあるという。
鬼塚氏はVirgin Orbitがなぜアジア各国の中から日本で衛星打ち上げサービスを行うことに決めたかを述べた。
「世界戦略をもつ同社がアジア(の中でどの国から打ち上げるか)を判断する際、いの一番に日本だった。何のためらいもなく。地理的な条件もあったが、一番大きかったのは、日本の宇宙産業がアジアの他の国々と比べて成熟していたこと。ロケット打ち上げに関する技術や知識だけでなく、衛星事業者、特に彼らのカスタマーとなりうる小型衛星事業者が日本に数多くあり、技術水準が高いレベルにある。今後も(衛星事業者が)出てくるだろうという予測も含めて、彼らは日本に決めた」