特集
日本から超小型衛星を宇宙へ–「新」宇宙輸送サービスへの期待と課題
2022.03.22 08:00
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日本初の民間ロケットを打ち上げたIST
北海道南十勝の大樹町に本社、工場があり、設計製造試験から打ち上げまで一気通貫で行うのがインターステラテクノロジズ(IST)だ。プロダクトは2つ。高度100㎞付近まで弾道飛行を行う観測ロケット「MOMO」と、現在開発中の超小型衛星打ち上げ用ロケット「ZERO」だ。
ZEROは2段式の液体ロケット。太陽同期準回帰軌道(SSO)に100㎏程度の打ち上げ能力をもつ。中身のコンポーネントは自社で低コスト化の技術をふんだんに入れて開発中。観測ロケットMOMOは7号機まで打ち上げを行い、ZEROと共通の部分も多く技術実証の意味合いももつ。
「ロケットをどうやったら安くなるかをゼロベースで考えて作っている。かなり低コストの観測ロケットが実際にできている」
カイロスは固体燃料ロケットだが、MOMOやZEROは液体燃料を使用。「炭化水素系の燃料を国内で実証したのはわれわれ唯一と言う自負がある」(稲川氏)。MOMOは、サイエンスミッションや企業PRなど顧客をつけた商業打ち上げを実施している。
今後の展開については、ロケットだけでなく革新的な衛星開発を行う子会社Our Starsを設立(JAXA宇宙機エンジニア野田篤司氏が最高技術責任者=CTOに就任)。また「北海道スペースポート計画」が2021年から本格的に動き出し、2022年には工事を着工する予定でISTもコミットしていく。
ユニークなのはロケット燃料の地産地消計画。北海道はバイオメタンが多くとれることから、メタンをロケット燃料に使おうとガス会社と動き出しているという。
米国企業の衛星打ち上げサービスを日本で展開するANA
スペースワン、ISTがそれぞれ自社でロケットを開発しているのに対して、異なるアプローチで宇宙輸送サービスを日本で始めようとしているのが全日本空輸(ANA)グループの持ち株会社であるANAホールディングスだ。
ANAホールディングスに宇宙事業チーム(5人)が発足したのは2021年4月1日。「なぜ、ANAが宇宙? と思われるかもしれない。人類の豊かで充実した宇宙利用に貢献することをANAグループのビジョンに掲げ、色々なことをやっていこうと。宇宙旅行だけではない」(鬼塚氏)