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「Starlink for RV」レビュー–十分な速度と安定性、設定も驚くほど簡単

2022.11.11 14:15

CNET Japan

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使い方

 基本的には他の高速インターネット回線と変わらない。アプリは便利で、アンテナの操作に必要な機能は一通りそろっている。設定が終わり、衛星からの信号を取得すると、アンテナが初期位置から移動して、適切な方向を向く。アプリを使えば、ホームページ経由で衛星の状態、アンテナの様子やルーターの範囲(家の中をマッピングして死角を見つけるのに便利)を確認できるほか、速度やレイテンシーに関するデータも入手できる。「NETWORK」タブでは、接続されているデバイスを確認可能だ。

 Starlinkのアンテナには、積もった雪を熱で溶かす融雪機能が搭載されている。筆者が住む地域では雪の心配はないが、アプリで自動処理できるのは便利だ。アンテナをしまう時は、設定画面のボタンを押すとアンテナが所定の位置に移動する。「ADVANCED」タブでは、Wi-FiやStarlinkのアンテナのデバッグや再起動を実行できる。

アンテナのケーブルは約23mもある(出典:Greg Nichols/ZDNET)
アンテナのケーブルは約23mもある(出典:Greg Nichols/ZDNET)

速度と安定性

 今回のレビューでは、Starlinkの動作はおおむね安定しており、一般的なオフィス用途の使用であれば、十分な速度が出ることが分かった。もちろん完璧ではないが、必要十分な機能は備わっていることを確認できたので、これまで使っていたインターネットサービスは解約し、Starlinkを停泊中も移動中もメインで使っていくつもりだ。

 アプリによると、直近12時間に5秒以上のサービス停止が3回あった。少なくはないが、正直なところ、通信量の多いビデオ会議などで1、2秒の中断を感じた程度で、しかもごくまれだった。また、筆者のいるロサンゼルスはカバー率こそ高いが、(おそらく)利用者も非常に多いので、ピーク時に他のプランの契約者より接続の優先順位が下がっている可能性もある。

 レイテンシーは予想よりも大きかった。筆者の環境では平均50ms近くとなり、公称の平均20msより大きい。直近12時間では、最小で21ms、最大で130msだった。この程度の遅延は、筆者の使い方では大きな問題ではないが、例えばゲームやライブストリーミング系のコンテンツを楽しみたい場合は支障があるかもしれない。

 スピードについては、今まで使っていたISPとは比べものにならない。平日の午前中だと下りは144Mbps、上りは2.4Mbps出ている。アップロード速度はやや物足りないが、筆者の使い方であれば十分だ。 平均すると下りは80~100Mbps、上りは1~2Mbps程度になっている。

 Starlink for RVを外出先で使用する場合は、消費電力にも気を付けたい。同社によれば、標準ハードウェア(アンテナ、電源、ルーター、ケーブル)の場合、平均50~70ワット消費するという。ネットワークの利用がないときでも、衛星に接続され、約20ワット使用する。これはオフグリッドでの利用時には決して少なくない使用量なので、使用環境がこの消費量に耐えられるかどうかはよく検討する必要がある。

結論

 Starlink for RVはかなりの優れもので、今のところ非常に満足している。完璧ではないし、優先順位が低い、保護ケースがない、消費電力がある程度大きいなど、気になる点もあるにはある。だが、これは筆者と筆者の家族にとっては、船上で快適に仕事をしたり、生活したりするうえでの大きな制約の1つを取り除いてくれる画期的なサービスだ。この周辺の住民からも同じ声を聞く。

 注意点が1つあるとすれば、多くの優れたサービスは、突然終了する可能性があるということだろう。Elon Musk氏は、Starlinkが実験的な技術・サービスであることを公言している。Starlinkに長期契約がないというのは、利便性が高い一方で、機器やサービスプラン、運営モデルが変わる可能性があることも示している。あるいは、完全に終了してしまうかもしれない。SpaceXがこの衛星コンステレーションに行った文字通り天文学的な投資を考えればそう簡単に終了することはないだろうが、その答えは誰にも分からない。

(出典:ZDNET/YouTube)

(この記事はCNET Japanからの転載です)

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