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2022年、宇宙競争はより白熱し、混み合い、危険になる
2022.01.19 11:22
ここ数年で、夜空は人類史上かつてない速度で変化しており、地球と大気圏外の宇宙との関係がより近くなるにつれ、この傾向は2022年も続きそうだ。だが、関係性の変化には何らかの結果がつきものだ。それは、われわれ人類が青空の先にある真空の宇宙とどのように相互作用するのかにも当てはまる。
2021年の12月初旬に、私が住むニューメキシコの小さな町の広場で巨大クリスマスツリーの点灯イベントが開催され、数百人が集まった。3階建てのビルほどの高さがあるツリーが色とりどりに輝くイルミネーションで暗闇から浮き上がったその数分後、友人が澄んだ夜空を指差した。
「あれは何だ? トナカイかな? いや、マジに、何だろう?」
私も明るくなったツリーの上を見上げた。きらめく光のすじが信じられないほど直線的に移動しており、それはツリーの先端から発しているように見えた。上空を高速に横切ったその光は、時々消えたりしたが、常に直線的な軌道を保っていた。
私はすぐに気づいた。
「Starlinkだ」と私は友人に言った。広場に集まった人々の多くが空を指差し始めていた。「昨夜打ち上げられたんだ」
「ああ、人工衛星か。今ではかなりの数が上空を飛んでいるんだろう?」
「うん。そして、これは始まったばかりだ」
ハーバードスミソニアン天体物理学センターの天文学者で軌道監視の第一人者として知られるJonathan McDowell氏によると、2021年末時点で軌道上をおよそ5000基の人工衛星が周回しているという。2010年のほぼ5倍に当たる。この10年間、数人の著名人が何千もの人工衛星を低軌道に打ち上げる計画を発表した。宇宙から直接放射する高速インターネット網で地球を覆うためだ。
Elon Musk氏率いるSpaceXは、ここ数年で既に約2000基のStarlink衛星を打ち上げた。SpaceXだけでなく、Amazon、Boeing、中国などがすべて低軌道に衛星コンステレーションを構築するという野心的な計画を実行した場合、10年後には地球を取り囲む衛星は3万基を超える可能性がある。
少なくとも、SpaceXとOneWebは2022年中にさらに数百の衛星を打ち上げると予想される。Amazonは衛星インターネット事業「Project Kuiper」の最初の衛星群を2022年後半に打ち上げる計画だ。
これらの商業コンステレーションの衝突を回避するためにどう管理すべきかという問題で、一部の宇宙ウォッチャーは夜も眠れない。2019年には、欧州の観測衛星がStarlinkの衛星との衝突を回避するためにマヌーバ(軌道操作)をしなければならなかった。SpaceXは、「オンコールページングシステムのバグ」で通信障害が発生したことがニアミスの原因だったと説明した。
英サウサンプトン大学天文学研究グループを率いるHugh Lewis教授は、Starlinkの管理を、米宇宙軍第18宇宙航空団と宇宙企業LeoLabsのような衛星情報提供企業を巻き込む複雑な調整のダンスだと表現した。そして、SpaceXは衛星コンステレーション運営者の1つにすぎない。
「重要なのは、宇宙はSpaceXだけの領分ではないということだ。逆に、SpaceXにはStarlinkの軌道を利用あるいは通過するすべてのミッションで安全な環境を維持する責任がある。Starlinkを管理するためにSpaceXが下した決定は、米連邦通信委員会(FCC)が承認した際に予想したよりも、はるかに広い範囲に影響を及ぼす」とLewis氏は述べた。
この件についてSpaceXにコメントを求めたが、応答はなかった。
こうした問題は、(少なくとも地球の近くの)宇宙が混雑し、地球と宇宙との間のトラフィック量が前例のないレベルになるとき、発生する。