提供:Zooey Liao/CNET

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2022年、宇宙競争はより白熱し、混み合い、危険になる

2022.01.19 11:22

CNET Japan

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有人宇宙旅行

 無人宇宙船の打ち上げペースにはまだほど遠いが、軌道までの宇宙旅行を利用する人間の数は2021年に急増し、これは2022年にも続くとみられる。

 Blue Origin、SpaceX、Virgin Galacticは2021年、それぞれが有償で顧客を宇宙に送り出し、今後数カ月でこの分野でのビジネスを強化していこうとしている。Blue OriginとVirgin Galacticは、軌道への宇宙旅行を実施している。この旅行では、数分間の無重力と宇宙から見る壮大な地球の眺望を体験できる。Blue Originは、軌道のさらに先に人や貨物を輸送するための、より大型のロケットにも取り組んでいる。

 SpaceXは既に2021年、宇宙船「Crew Dragon」で国際宇宙ステーション(ISS)と軌道の両方に旅行者を送っている。これは、近い将来起こることの序章にすぎない。

 既に予定されているミッションの1つは、Axiom SpaceとSpaceXの提携による、史上初の民間人のみが乗船する商業宇宙船のISSへの打ち上げだ。

 商業宇宙旅行は2021年にメディアを賑わし、多数のミームを生み出し、Netflixのドキュメンタリーの素材になった。2022年の動き次第で、われわれは2021年という年を、パンデミック中に宇宙に行く億万長者や著名人に魅了された奇妙な年として、あるいは、ライト兄弟、チャールズ・リンドバーグ、アメリア・イアハートが成し遂げた偉業と同様の、歴史上の記念すべき年として振り返ることになるだろう。

 2022年がどちらに向かうかは、世界一の富豪とその大作ロケットによってドラマチックに左右されるだろう。Musk氏が開発中の「Starship」は、人間を月と火星に送るための次世代の宇宙船で、そのデザインと野心は新しくもあり、レトロフューチャーな美学と名称はオールドファッションでもある。

 Starshipは、人類が多惑星種になろうというとき、Musk氏が最終的には何千人もの人間を火星に送るために使おうとしている宇宙船だ。人類史上最も野心的といえるこのプロジェクトは、宇宙船の製造以外はまだ進んでいない。だが、米航空宇宙局(NASA)は早ければ2025年にStarshipで宇宙飛行士を月に送るという契約に署名した。

着陸しようとするSpaceXのStarshipのプロトタイプ「SN10」(提供:SpaceX)
着陸しようとするSpaceXのStarshipのプロトタイプ「SN10」(提供:SpaceX)

 しかし、月と火星への旅よりも、Starshipによる地球上のフライトの方が重要かもしれない。われわれ一般人が月や火星に行く可能性はほとんどない。だが、ライト兄弟が1903年にノースカロライナで行ったように、地上の移動にSpaceXのロケットと宇宙を使う可能性がある。

 Musk氏は最初にStarship(当時は「BFR」と呼ばれていた)を披露したときから、Starshipを地上にある多数の宇宙港から宇宙に打ち上げ、地球の反対側の宇宙港に着陸させるというアイデアを提示している。実現すれば、無重力と壮大な眺望も体験できる超高速の国際線が誕生する。その眺望は、Blue OriginとVirgin Galacticの宇宙船でほんの数分間楽しむために、数十万~数百万ドル費やしているのと同じ眺めだ。

 このビジョンの実現には、さらに多くの宇宙港と宇宙船の建設と、さまざまな官僚的形式主義の打破が必要だ。だが、Musk氏の構想の最初のテストは、2023年、もしくは早ければ2022年中に実現するかもしれない。SpaceXは、テキサスの宇宙港から打ち上げるStarshipのプロトタイプによる初の軌道飛行を予定している。テキサスから軌道に打ち上げられたStarshipは大気圏に再突入し、ハワイ沖にソフトランディングする計画だ。

 宇宙船による地球上の、あるいは地球と宇宙間の旅行が一般化するまでには長い道のりがある。だが、ライト兄弟がノースカロライナ州キティホークの砂丘をわずかに飛行してから商用国際線の実現までには約15年しかかからなかった。しかもそれは20世紀初頭の技術によるものだ。

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