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危機的な史跡のリストに月が加わる、人間活動の増加がリスク要因と国際NPO

2025.01.20 12:10

CNN.co.jp

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世界の歴史的建造物や文化遺産の保存に取り組む国際非営利団体(NPO)、ワールド・モニュメント財団(WMF)はこのほど、存続が危ぶまれる「危機遺産」のリストに月を加えた。2年ごとに25カ所を発表する危機遺産リストに地球外の場所が選ばれたのは、今回の2025年版が初めて。

WMFの報道向け発表によると、新たな宇宙時代の始まりを受けて、月には人間の存在に関連する「史跡」が90以上あるという。そこには人類が月面への第一歩を踏み出した「静かの基地」も含まれる。

着陸地点には宇宙飛行士のニール・アームストロングの足跡が残されているほか、アポロ11号のミッションにまつわる人工物も100以上存在しているという。

発表では月面着陸のテレビ中継に使用されたカメラや宇宙飛行士らが置いてきた記念品の象徴的意義を認めつつ、適切な保存措置が講じられないまま月面活動が加速すれば現地の環境にもたらすリスクは増大すると懸念を示した。

危機遺産リストに月を加えたことで、地球外の遺産に対しても保護に向けた積極的かつ協力的な戦略の必要性が浮き彫りになると、WMFは述べた。

1996年に危機遺産リストを開始して以降、WMFは当該の約350の遺産向けプロジェクトに対して1億2000万ドル(現在のレートで約187億円)以上を寄付してきた。発表によればWMFが取り上げたことで認知度が向上した結果、これらの遺産には3億ドルの追加の利益がもたらされているという。

今回リスト入りした他の遺産も、気候変動やオーバーツーリズム(観光公害)、自然災害、紛争といった大きな問題に直面している。そこにはイスラエルとの戦争で荒廃したパレスチナ自治区ガザ地区の歴史ある地域や建物、ロシアとの戦争で大きく損傷したウクライナの首都キーウの歴史的建造物が含まれる。

国際NPOが選ぶ「危機遺産」のリストに月が初めて加えられた / NASA
国際NPOが選ぶ「危機遺産」のリストに月が初めて加えられた / NASA

(この記事はCNN.co.jpからの転載です)

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