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8万年の軌道を描く彗星、地球に接近 ネアンデルタール人が見て以来?
2024.10.11 14:00
昨年発見されたばかりの紫金山(しきんざん)・アトラス彗星(すいせい)(C/2023 A3)が、12日(米国時間)に地球に最接近する。天文ファンが観測できるのは恐らく最初で最後のチャンス。次に夜空に現れるのは8万年後と予想されている。
太陽を公転する紫金山・アトラス彗星は、太陽に最も近い近日点を9月27日に通過。南半球では9月から10月上旬、夜空に姿を現した。米航空宇宙局(NASA)によると、現在は太陽系から出て行く途上にあり、北半球では10月中旬から11月初旬にかけて観察できる。
12日には地球から約7100万キロに接近する。地球付近を通過する紫金山・アトラス彗星が記録されるのは初めて。8万年の軌道を描く同彗星が前回、地球から見えたのは、ネアンデルタール人の時代だったと推測される。
紫金山・アトラス彗星は日没後、西の低い夜空で観察でき、暗い場所では長い尾を引く明るい火球のように見える。しかしNASAの専門家は、よく見えるように双眼鏡を使うことを勧めている。
紫金山・アトラス彗星は、2023年に中国の紫金山天文台と南アフリカのアトラス望遠鏡が別々に発見した。
9日前後には太陽光が彗星のガスや塵(ちり)に反射して「前方散乱」という現象が発生し、最も明るくなる。ただし太陽の強い光に遮られ、夜空に見えるのは数日後になる見通し。
もし全てがうまくいった場合、同彗星は約8万年後に戻って来る。ただし彗星は予想がつきにくく、別の惑星の重力の影響で軌道が変化する可能性もあると専門家は指摘している。
イタリアの「Virtual Telescope Project」は、最も明るくなる9日と地球に最接近する12日、彗星の様子をライブ中継する。
(この記事はCNN.co.jpからの転載です)