木星衛星探査機「エウロパ・クリッパー」、搭載されるプレートに込められた思いは

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木星衛星探査機「エウロパ・クリッパー」、搭載されるプレートに込められた思いは

2024.03.14 11:37

CNN.co.jp

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惑星探査機「ボイジャー」や火星探査車「パーサビアランス」など、宇宙へメッセージを送るという米航空宇宙局(NASA)の伝統が、木星の衛星の探査機「エウロパ・クリッパー」に継承される。注目のミッションを背負って今年10月に打ち上げが予定されている探査機には、人類を象徴する氏名や詩文、アート作品などを刻んだプレートが搭載される。

探査機が向かう先は木星を周回する氷の衛星、エウロパだ。水をたたえたこの衛星は、地球外生命体の探索候補に最適な星のひとつに挙げられてきた。厚い氷の下には、地球の2倍以上の海が存在すると推測されている。

木星衛星探査機「エウロパ・クリッパー」に搭載されるプレート/NASA/JPL-Caltech
木星衛星探査機「エウロパ・クリッパー」に搭載されるプレート/NASA/JPL-Caltech

両面に装飾が施されたタンタル製の三角形のプレートは、高感度な電子機器を密閉して木星の強力な放射線から保護する。

プレートの内側にあるシリコン製マイクロチップには、一般公募で寄せられた260万人以上の氏名が、電子ビームを使って毛髪の1000分の1以下の幅にぎっしりと刻まれている。マイクロチップは、木星とその衛星の軌道の中に浮かぶボトルのデザインの最も重要なもので、これが宇宙に向けたメッセージボトルであることを示している。

ボトルの下には、米国の著名な詩人エイダ・リモン氏が書き下ろした「In Praise of Mystery: A Poem for Europa」が、本人の筆跡のまま刻まれている。アリゾナ州立大学の教授で、エウロパ探査計画の基礎を築いた惑星科学の権威、ロン・グリーリー氏の肖像も施されている。

プレートの端には、今は亡きカリフォルニア大学サンタクルス校の天文学者フランク・ドレイク氏が1961年に提示した、地球外生命体を発見する可能性を推定する「ドレイクの方程式」が刻まれている。この方式は現在にいたるまで、地球外生命体の可能性を調査する天文生物学研究の要となっている。

プレートの外側には、世界103の言語で「水」を意味する単語を録音し、それを波形で表したデザインが施され、さらに中央には米国の手話で「水」を意味するシンボルが刻まれている。

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