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NASAはいかにしてデータサイエンス人材のスキルギャップ解消に取り組んでいるのか

2021.07.16 06:30

ZDNet Japan

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 NASAのプロジェクトの次のフェーズでは、それぞれの職種に関連するスキルやタスクを職員に確認してもらう作業や、モデルをトレーニングする作業が行われる。その後、Meza氏らは、NASAの職員が人材を探したり、新しい業務に関わるチャンスを調べたりすることができるエンドユーザー向けのアプリケーションを正式に作成し、そのインターフェースを(できれば年末までに)作る予定だ。

 Meza氏は、最終的に作られるアプリケーションは、マネージャーと職員の両方にメリットがあるものになると考えている。マネージャーは、組織のどこでスキルが不足しており、どこでトレーニングプログラムを変更する必要があるかを調べて予測できるようになり、職員はどんなチャンスがあるかを知ることができるとともに、スキルギャップを埋めるには、どんなスキルアップをしていくべきかを知るためのロードマップを得ることができる。

 「別の言い方をすれば、もし自分がマネジメントアナリストで、今後はビジネスインテリジェンスの仕事をしたいと思えば、マネジメントアナリストとして自分がどんなスキルを持っているかを調べ、それをビジネスインテリジェンスアナリストと比較して、何を学ぶべきかを知ることができるということだ」

 Meza氏はすでに、ナレッジグラフを使う上で重要な教訓をいくつか学んでいる。人工知能(AI)や機械学習に関するプロジェクトではよくあることだが、同氏のチームは、倫理に最大限の注意を払いながら作業を進める必要があった。彼らはNASAの人的資源部門の心理学者と協力して、使用しているモデルが不正確なものであったり、特定の集団が不利になるようなバイアスがあったりしないかを確認しながら作業を進めている。

 また、このプロジェクトを率いたことは、Meza氏がNASAの未来のデータサイエンティストに関するセンスを身につけるのに役立ったという。同氏は、情報や知識やモデルを共有し合う、団結力が強く、協力的な専門家の集団が生まれると予想している。その結果、NASAの中にデータサイエンスに関する幅広い能力が養われ、必要に応じてさまざまなプロジェクトでその能力を生かせるようになるはずだという。

 「NASAの中には、まだ各分野の垣根を超えて共有すべき関係性や知識がたくさんある」と同氏は言う。「そして私は、ナレッジグラフが、私たち個人の専門分野を必要に応じてどう結びつけていけばいいかを知るために役立つと考えている」

(この記事はZDNet Japanからの転載です)

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