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NASAはいかにしてデータサイエンス人材のスキルギャップ解消に取り組んでいるのか

2021.07.16 06:30

ZDNet Japan

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 経験豊富なデータサイエンティストであるMeza氏は、10年以上前からNeo4jのナレッジグラフを使っている。同氏はその経験を、職員のスキルセットに基づいて新しいプロジェクトと職員をマッチングするための人材マッピングデータベースを作るために生かしている。

 Meza氏は「これはほとんどのケースで、ナレッジグラフが有効な問題だ。人材について考える場合、何らかの注目すべき関係性や結びつきが存在するものであり、ナレッジグラフを利用することは理にかなっている」と述べている。

 このプロジェクトはまだ実装段階にあり、最初の6~8カ月間は研究開発に費やされた。Meza氏らはまず、職業分類を作ることに力を注いだ。これは、職員、トレーニング、プロジェクトの観点から、職務のさまざまな構成要素を分析したものだ。同氏らは、数百の職業の説明とスキルセットが収録されている、「O*NET」と呼ばれる米労働省のデータベースを利用した。

 Meza氏は、この職業分類を元にして、Neo4jのグラフデータベースの基礎を作った。職務の構成要素を調べることでモデルを構築することが可能になり、特定の職業のスキルを持つ人々を特定する作業を始めることができた。このモデルでは、NASAの各職員が、それぞれの役職の作業をこなすためにどんな能力が必要かが表現されている。

 調査によれば、ビジネスではデータサイエンス人材を特定して見つけることが課題になることが多いという。3分の2以上(69%)の企業は、過去2年間に少なくとも1つのデータ関連職の人員を補充することができなかった経験があると答えている。

 実際、Gartnerによれば、多くの企業が、はっきりしたデータを持たないまま、手探りで必要とする人材を見つけようとしている状態だという。企業の半数以上(53%)は、必要なスキルを特定できないことが、人材に関して変革する上での最大の阻害要因になっていると述べている。また企業の31%は、市場をリードするにはどのスキルが必要かを知る方法がないと答えていた。

 最近では市場の変化が速くなっており、競合企業と有利に戦うためには、どんな分野の企業にとっても、デジタル人材やデータ人材を獲得して育てる能力が重要になる可能性が高い。それを考えれば、このような知識が欠如したまま突き進むのは許されることではない。コンサルティング企業のDeloitteは、ビジネスリーダーは、機械学習やデータアナリティクス、データモデリング、データアーキテクチャー、データエンジニアリングなどの具体的なデータやアナリティクスの分野に関して、従業員が持っているスキルのレベルを特定し、その水準を向上させる必要があると述べている

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