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「Fortran」の人気が再燃?–専門家が考える現状と展望

2021.05.17 06:30

ZDNet Japan

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 これは、モダンなプログラミング言語に引けを取らないようにすることで何かを壊してしまうリスクを取るのか、あるいは新機能を追加しないリスクを取るのかという点で、バランスをとるのが難しい取り組みだ。こうしたリスク上の判断を誤れば、ユーザーはより新しい言語に流れていってしまう。

 Clune氏は「われわれFortran言語委員会は先進的な機能を速やかに規格に取り入れることができるが、新機能は実際のところ実装されていないという状況になる」と述べた。

 そして同氏は、「そうではなく、言語をよりインクリメンタルなかたちで進化させていけば、必要な機能を使うために数十年も待てないとするユーザーベースの大半を失うというリスクを負うことになる」と述べた上で、「さらに、その中間に答えがあるという保証はまったくない」と認めた。

 ただ同氏は、Fortranが生き残ることは科学コミュニティーにとって有益だと主張し、Fortranの核心は主に仕事の中で学習でき、C++のような言語が持つ洗練された複雑さを必要としていない点もあると述べた。また科学者らにとって言語の切り替えは、自らが実行している分析に微妙な変化をもたらすという大きなリスクを伴うという。

 LANLにおいてCertik氏は、Fortranから別の言語に切り替えるプレッシャーを感じている。そしてLANLにいる1万人以上の科学者らの多くは言語の切り替えを望んでいる点が、LFortranの採用を難しくしている。

 Certik氏は「Fortranの使用をとにかくやめるべきだと考えている人たちが一定数存在している」と述べ、「その一方で、Fortranを使い続けている物理学者の存在を目にしている人もおり、彼らは好意的に受け止めるだろう」と続けた。

 同氏は「ただ、現在Fortranを使用している人々が、こういったPythonやJuliaのようなアプローチを評価しているというわけでは必ずしもない」とも述べた。

 「彼らは、すべてが本当に機能するまでそのビジョンを理解してくれるとは限らない。一部の人々はこれが死にゆく言語だと述べているが、私は膨大な可能性があると考えている。Fortranを使用している人々と話をすると、彼らは最も必要なものが自らのコードを最新式のハードウェア上で効率よく実行できるようにする、つまりただ実行できるだけではなく、ハードウェアの利点を生かせるようにしてくれるコンパイラーだと述べている」(Certik氏)

 またClune氏は、開発中の新たなFortranプロジェクトが今も存在していると主張している。

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