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「Fortran」の人気が再燃?–専門家が考える現状と展望
2021.05.17 06:30
同氏は「考えようによっては、JuliaはPythonを高速化した言語だと言える」と述べ、「われわれはLFortranによって逆の道を歩もうとしている。つまり、Fortranのような高速な言語から出発し、その対話性を高める方法に取り組んでいくということだ」と続けた。
Fortran自体は2つの主要団体を通じて現在も積極的に開発が進められている。その1つは米国Fortran標準化委員会(旧称が「ANSI X3J3」であったことから、「J3」という名で呼ばれている)だ。同団体は、国際Fortran標準化委員会(WG5)が策定する標準仕様に大きな影響を与える力を有している。また、J3にはIntelやNVIDIA、Arm、IBM、Advanced Micro Devices(AMD)、DoE、NASAなどが代表者として名を連ねている。
NASAのゴダード宇宙飛行センターでGlobal Modeling and Assimilation Officeのソフトウェアインフラストラクチャーチームのリードを務めるTom Clune氏は「Fortranは今日、極めて難しい立場にあると私は考えている」と述べた。
J3にNASAの代表者として参加しているClune氏によると、既存のコードを使えなくするようなリスクを持った新機能をFortranはサポートすべきかという問題に直面しているという。
同氏は米ZDNetに対して、「その一方で、伝統的にFortranの主な領域だった問題の解決に適している機能を搭載した新しい言語が複数利用可能になっている」と語った。
これによってFortranは、新機能を短期間で搭載し、進化していくという圧力にさらされている。
同氏は「その一方で、現在の市場はモダンなFortranコンパイラーの数が減少する(今ではその反動が出てきていると言える)とともに、Fortranコンパイラー開発者に対する予算が削減される方向に進んできている」と述べた。
「こうした点と、Fortranの後方互換性を確保し続けるという一般的な要望を考え合わせると、何かを犠牲にする必要が出てくるはずだ」(Clune氏)
Fortranは2000年以来、「Fortran 2003」や「Fortran 2008」「Fortran 2018」といった大規模な改訂を何度か経てきている。そして今後も2度のアップデート(「Fortran 202x」と「Fortran 202Y」と呼ばれている)が予定されているが、リリースされるのは何年も先となっている。