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地球から43万キロの場所に到着 宇宙船オリオン、最遠記録を更新

2022.11.29 11:58

朝日新聞

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 米航空宇宙局(NASA)は28日、人類の月面着陸を再びめざす「アルテミス計画」の第1弾として打ち上げた宇宙船オリオンが、地球から約43万5千キロ離れた場所に到着したと発表した。今回は無人だが、人が乗り込めるように設計された宇宙船として、地球から最も遠い距離への飛行の記録となった。

 オリオンは米東部時間16日未明、フロリダ州のケネディ宇宙センターから新型ロケットSLSで打ち上げられた。21日には月面から約130キロの距離にまで接近。25日には月を周回する軌道に入った。

 さらに地球から離れた場所へ向けた飛行を続け、26日には1970年のアポロ13号がつくった有人宇宙船の地球から最も遠い距離までの飛行記録を塗り替えた。さらに28日、オリオンの飛行計画で地球から最も離れた場所に到着した。

 NASAのビル・ネルソン長官は「アルテミス計画は、より遠くへ行って帰ってくるだけでなく、過酷な宇宙環境での生活や作業、そして最終的には火星へ行く道を切り開いている」と語った。

 今回は月面に着陸する予定はない。オリオンはこの後、再び月に接近し、地球に戻ってくる。地球への帰還は12月11日の予定で、米東海岸のサンディエゴ近くの太平洋に着水する。

 アルテミス計画の第1弾となる今回は無人飛行だが、24年予定の第2弾ではオリオンに宇宙飛行士が乗り込み、月を周回して地球に戻る計画。25年の第3弾では飛行士が月面着陸し、27年の第4弾では2度目の月面着陸も計画している。(ワシントン=合田禄)

宇宙船オリオンの太陽光パネルに設置されたカメラが撮影した船体と地球=NASA提供
宇宙船オリオンの太陽光パネルに設置されたカメラが撮影した船体と地球=NASA提供

(この記事は朝日新聞デジタルに2022年11月29日10時に掲載された記事の転載です)

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