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ispace、月面探査「HAKUTO-R」で内閣府から許可–月資源の売買は世界初
2022.11.09 12:00
ispace(東京都中央区)は、最短で11月22日以降に打ち上げを予定している、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」で月着陸を目指すミッション1について内閣府から「宇宙資源の探査と許可」を11月4日付で取得した。11月8日に発表した。
内閣府は、宇宙資源法に基づく、宇宙資源の探査と許可の申請を受け付けている。申請では、宇宙活動法第20条に基づいた「人工衛星の管理」の申請とともに事業活動計画も提出する必要があった。
ispaceは、ミッション1で月面の砂やちり(レゴリス)を採取し、顧客に所有権を売却するという事業活動計画を内閣府に提出。申請は許可された。
ミッション1は、月着陸船(ランダー)での月面着陸と輸送技術の実証が主目的であり、ランダーには複数の顧客ペイロードが搭載される。
申請が許可されたことで、ispaceは米航空宇宙局(NASA)と月資源を商取引できるようになる。NASAとの月資源商取引プログラムで設定されている、NASAへのレゴリスの譲渡は、ランダーの月面着陸後に行われる予定。
ランダーには、着陸時の衝撃を吸収するため、着陸脚先端にフットパッドを搭載しており、このフットパッドを利用してレゴリスを採取する。
ランダー着陸時に衝撃で舞い上がったレゴリスが、4つあるフットパッドに堆積することを想定。フットパッドに堆積したレゴリスはランダーに搭載したカメラで撮影され、撮影画像で確認したレゴリスの所有権はミッション1運用終了前にNASAに移転される。
月面での採取と所有権の移転に成功すれば、世界初の月資源の商取引となる。レゴリスの物理的な受け渡しを伴うものではないという。
ispaceは、2020年12月にNASAが発表した4つの契約のうち2つを受注しており、ミッション2で欧州法人ispace EUROPEが開発を進めている月面探査車(ローバー)でレゴリスを採取し、NASAと月資源商取引を行う予定。ミッション2については、改めて申請して、別途認可を取得する予定となる。