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天地人「宇宙水道局」を活用–地下の水道管の劣化と地上の路面異常の相関を検証

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　世界各国500機以上の人工衛星が観測したデータやオープンデータをもとにウェブベースの地理情報システム（GIS）「天地人コンパス」を提供する天地人（東京都中央区）と自動車部品大手のアイシンは共同で道路と水道管理を連携させたプロジェクトを開始した。8月7日に発表した。

　天地人が提供する水道管漏水リスク管理システム「天地人コンパス 宇宙水道局」と、アイシンが提供する、車載カメラとAI（人工知能）で路面異常を検知する道路維持管理支援サービス「みちログ」を連携させて、地下の水道管の劣化と地上の路面異常の相関を検証する。

　従来個別に行われていたインフラ点検を相互連携し、道路と水道インフラ管理の高度化を実現させるという。データを連携させて予測精度を向上させ、事故予兆の早期発見と維持管理費の抑制、人手不足の解消を目指す。

　プロジェクトは静岡県磐田市で進める。同市の道路パトロールカーと地元の遠鉄タクシーが協力。みちログ専用カメラと車載器を車両に搭載して路面データを効率的に収集するという。磐田市での実証を通じて確立したモデルを全国に展開することを考えている。

　宇宙水道局の漏水リスク診断をみちログのダッシュボードに取り込んで、カメラと車載器を搭載した車両が漏水リスクの高いエリアを重点的に走行し、あらかじめ登録した地点の路面を撮影する。

　みちログでは、撮影した画像で地上漏水の有無を含めた道路表面のひび割れやポットホールなどの異常を検出。その後、道路表面のデータを宇宙水道局に取り込んで、過去の漏水履歴や漏水リスクとの創刊を検証して、予測精度の向上に活用する。

　道路表面の異常と地下の漏水リスクが高いエリアを重ね合わせて分析することで漏水起点の陥没や路面沈下の予兆を高精度で把握するという。国土交通省が進める「地域インフラ群再生戦略マネジメント」（群マネ）を自治体、民間企業、地元企業と公民連携で実装する日本初の取り組みになると説明している。

インフラ管理の新モデル確立目指す

　国内の上下水道は法定耐用年数を超えた管路が約17.6万km（地球約4周分）を超え、年間約2万件以上の漏水事故が発生している。道路では、老朽化による陥没やポットホールが増加し、住民の安全と交通インフラに深刻な影響を及ぼしていると指摘されている。

　国交省は、施設別管理から転換して、道路や公園、上下水道など複数の分野にわたるインフラを「群」として捉え、地域単位という広域的な視点で効率的、効果的に複数のインフラを最適化する群マネを進めている。今回のプロジェクトは群マネを具体的に実装する先駆的な取り組みとして、公民連携による民間主導の解決策を提示し、水道と道路のデータを統合させた新しいインフラ管理モデルの確立を目指す。

　全国の自治体では、人材や予算が限られる中で今回のプロジェクトが提示する、地上と地下の兆候を統合分析するアプローチで事故予兆の早期発見と点検の優先度付けが可能になると説明。従来別々に管理されていた道路と水道の情報が連携することで自治体内の部門間連携を促進させて、より効率的な自治体運営のモデルケースを提示するとしている。

　自治体、民間企業、地元企業が一体となって運用する今回の実証モデルは持続可能な社会インフラ管理を支援する、新しい枠組みを構築すると解説。遠鉄タクシーが参画することで、地域に根差した企業との連携で効果的なデータ収集体制を確立して、地域経済との好循環も創出するとしている。

AIで道路の異常を検知するみちログ

　みちログは、公用車やタクシーに搭載したカメラで収集した走行データをAIで分析して、道路の異常を検知することがコンセプト。補修が必要な異常を管理者がパトロールしなくても把握できるため、事故につながる路面異常を速やかに補修できるという。

　路面正常の管理指標である「国際ラフネス指数」（International Roughness Index：IRI）やひび割れの計測に加えて、車道外側線の擦れも計測可能と説明する。計測データはウェブの地図上に表示できるほか、GISに取り込めるデータとしても出力可能であり、補修計画の策定を支援できるという。

　みちログではまた、AIで自動で検知した情報に加え、市民からの通報やパトロール中に発見し、スマートフォンから登録した異常もサーバ上で一元管理できる。デジタル地図上で道路の管理状態をリアルタイムに把握でき、データをもとにしたコミュニケーションで、従来に比べて飛躍的に業務効率を改善できるとしている。

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天地人 プレスリリース