
ニュース
ChatGPT、宇宙船の操縦が意外に上手–シミュレーションコンテストで2位
大規模言語モデル(LLM)の「ChatGPT」が自律宇宙船シミュレーションコンテストで2位に入賞した。学術誌に論文が掲載されている。
宇宙開発シミュレーションゲーム「Kerbal Space Program」(Steamで配信)は、太陽系に似た惑星で構成される恒星系の第3惑星を拠点にKerbalと呼ばれる異星人のために宇宙船を建造して宇宙に飛び立つことが目的。プレーヤーは、航空力学や軌道工学に基づいた環境で多数のパーツを機能するように組み合わせて宇宙船を飛ばす。
このシミュレーションゲームを舞台にしたコンテスト「Kerbal Space Program Differential Game Challenge(KSPDGC)」は、シミュレーションされた宇宙船の自律制御のためのエージェントとアルゴリズムを開発する。同コンテストは、衛星を追跡したり迎撃したりするミッションや探知を回避するミッションなど複数のシナリオで構成されている。
ある研究チームは、一般に流通しているLLMであるChatGPTをこのコンテストで使用した。従来のアプローチでは自律システム開発に訓練、フィードバック、改良の多くのサイクルが必要となるためだ。
しかし、研究チームはKSPDGCの本質について、可能な限り現実的なものにすることであり、ミッションにかけられるのはわずか数時間であると説明。モデルを継続的に改良することは現実的ではないとしている。
研究チームは、LLMのメリットとして、すでに人間の書いた膨大な量のテキストで訓練されていることを挙げている。特定の状況に対して適切な文脈を取得するために、少しの慎重なプロンプトエンジニアリングと数回の試行のみが必要と説明する。
こうした背景から研究チームは、宇宙船の特定の状態とその目標をテキスト形式に変換する方法を開発。加えて、宇宙船の向きや操縦方法に関する推奨事項を求め、LLMのテキストベースの出力を機能的なコードに変換する翻訳レイヤーを開発した。
一連の短いプロンプトと微調整でChatGPTはコンテスト内の多くのテストを完了させ、最終的に2位に入賞した。この結果は、ChatGPTの最新のバージョン4がリリースされる前に達成されたもので、既製のLLMの予期せぬ活用法を示していると米メディアLiveScience.comは指摘している。
関連情報
Kerbal Space Program(Steam)
Kerbal Space Program Differential Game Challenge
KSPDGCオープンソースライブラリ(GitHub)
Journal of Advances in Space Researchに掲載された論文「Large Language Models as Autonomous Spacecraft Operators in Kerbal Space Program」
LiveScience.com
