
ニュース
Synspective、「だいち4号」のデータ・サービス事業者に選定
2025.06.16 08:00
先進レーダー衛星「だいち4号」(ALOS-4)に観測データを活用したデータ・サービス事業者として新たにSynspective(東京都江東区)が選ばれた。6月10日に発表された。
これまで天地人とパスコの2社だったデータ・サービス事業者にSynspectiveが加わることになる。提供開始時期はまだ決まっていない。
だいち4号は、2006年に打ち上げられた「だいち」(ALOS)、2014年に打ち上げられた「だいち2号」(ALOS-2)の後継機として打ち上げられたフェーズドアレイ方式のLバンド合成開口レーダー(LバンドSAR)「PALSAR-3」を搭載した衛星。
ALOSシリーズの最新機であるだいち4号は、災害状況の把握、地盤沈下などの土木インフラ管理、水耕栽培などの農業での活用、森林伐採の監視、海水や海岸線の把握など、あらゆる分野でSAR衛星にしかできない情報を提供するという。
だいち4号は4月1日から定常観測運用を開始。搭載されているPALSAR-3(Phased Array type L-band Synthetic Aperture Radar-3)はSARとして世界で初という「デジタルビームフォーミング」技術を活用。だいち2号の3mという高い空間分解能を維持しながらも、観測範囲は最大4倍(200km)に拡大されている。
Synspectiveは、これまでのだいち2号の活用実績を生かしながら、だいち4号で取得した衛星データの販売網を拡大し、日本国内外、特にアジア圏での利用促進を図る計画と説明。同社の小型SAR衛星「StriX(ストリクス)」とあわせることで、顧客が利用可能なSAR画像を増やすことができ、新たな価値創出の促進にもつながると説明する。

同社によれば、StriXとだいち4号はSAR技術を活用しているが、特徴が異なるという。
StriXはXバンドを利用しており、高分解能の画像を取得するのに適していると説明。Xバンドは波長が短いため、木の葉や草で電波は反射され、建物や道路などの構造物の把握や変化を捉えるのに優れているという。地表の地形や地質、森林構造などを詳細に把握することが可能であり、都市部のインフラのモニタリング、災害後の迅速な被害評価に強みを発揮するとしている。
だいち4号のLバンドは波長が長く、森林地域や草地などの地表観測で優れた性能を発揮する。地盤変動や盛土の把握と長期的なモニタリングに適していると解説する。
StriXとだいち4号のそれぞれ異なるバンドの特性を活用することで、補完的な情報を提供すると説明。高解像度が求められる都市部の観測にはXバンドのStriXが、地盤の変化を追跡する必要がある場合にはLバンドのだいち4号が最適としている。
